八重歯と犬歯って違うの?八重歯になる原因と治療法を解説。
監修:歯科医師 高島光洋
八重歯=犬歯だと思っている方、実はけっこういらっしゃいます。ですが、この2種類の歯は全く別物なのです。
例えば、犬歯はほとんどの人に生えてくるのに対して、八重歯は生える人・生えない人がいる、という違いがあります。
どういうことでしょうか?詳しくお話していきます。
1.犬歯と八重歯、ココが違う!
・犬歯が八重歯になりやすいそのわけとは?
・八重歯と間違えやすい、その他の歯の特徴
2.尖って見える歯の治療方法
・ケース①八重歯(乱食い歯)
・ケース②矮小歯
・ケース③捻転歯
3.尖っている犬歯、削るのは要注意!
4.インビザラインなら、尖った八重歯も改善できます
犬歯と八重歯、ココが違う!
まず、犬歯と八重歯、それぞれの特徴を挙げてみます。
〇犬歯・・・「犬歯」というのは歯の名称です。
切歯(前歯)と臼歯(奥歯)の間の前から3番目にあって、尖った形をしています。切歯は刃物のように食べ物を噛み切り、臼歯はうすのように食べ物をすり潰し、犬歯はナイフのような形をしていて食べ物を切り裂くという、それぞれの歯には役割があります。
犬歯は上下に1対ずつ、合計4本生えてきます。すべての歯の中でも一番根っこが長くしっかりした強度のある歯です。年齢を重ねて歯を支える骨が減ってきたとき、最後まで残る歯も犬歯で、顎が左右上下に動くとき正常に保てるのも犬歯があるからです。
〇八重歯・・・歯が歯列からはみ出して生えている状態のことを言います。
正式には「低位唇側転移歯」と呼ばれ、正常な歯列から外れて生えてくる歯のことをいいます。
中でも犬歯は歯列からはみ出て生えてくる場合が多くあります。犬歯の前後にある、切歯や臼歯にぶつかって間に入れず、歯列からはみ出してしまうことが原因で他の歯と生える位置が違ってきます。
犬歯が重なって生える(八重歯になる)ことが多いので、犬歯=八重歯と思われる方が多いと考えられますが、犬歯は「歯の名前」、八重歯は「重なって生える状態」を指します。
犬歯が八重歯になりやすいそのわけとは?
なぜ犬歯は八重歯になりやすいのか?それは歯の生える順番と顎の大きさに理由があります。
乳歯から永久歯に生え変わるとき、上の歯の場合、前歯から生え変わります。そして奥歯が生え変わり、最後に乳歯の犬歯が抜けて永久歯の犬歯が生えてきます。
現代の子供たちは比較的柔らかい食べ物を食べることが多く、その影響で顎の発育が不十分になり顎が小さくなります。それに対して歯の大きさは大きくなっているため、永久歯がきれいに並んで生えるためのスペースが狭くなります。
そのため、最後に生えてくる犬歯は本来生えるべきスペースが足りなくなり、他の歯と重なるようにして外側にはみ出して生えてくることが多くなり、それが八重歯となる、というわけです。
八重歯と間違えやすい、その他の歯の特徴
八重歯になる歯は犬歯だけではありません。本来生える正しい歯並びから外れて、他の歯と重なるようにして生えてくる歯はすべて「八重歯」となります。
そして「八重歯=尖っている歯」と思われがちなのでそこも解説していきます。
犬歯はひし形のような形をしている場合が多く、先がとがっている形状になります。先がとがって牙のような犬歯でも正しい位置に生えて居れば「八重歯」ではありません。
また、「矮小歯」と言われる本来の大きさより小さい歯や、「捻転歯」という歯がねじれている歯は尖って見えるため「八重歯」と間違われやすいです。
尖って見える歯の治療方法
元々の形状が尖っている犬歯だと、八重歯のように歯並びが悪いことで唇を切ったりケガをしやすくなります。
また「八重歯」と間違われやすい「矮小歯」や「捻転歯」によって、尖って見える歯も治療をすることで見え方が変わります。
ケース①八重歯(乱食い歯)
八重歯は「乱食い歯」ともいわれます。八重歯の治療は大きく2つの方法に分けられます。
〇大きくスペースを確保するための抜歯
犬歯が歯列から大きくはみ出した八重歯の場合、多くのケースで小臼歯を抜歯します。
犬歯は歯の長さも根っこの長さも長く丈夫な歯で、お口の中でも永く残したい大切な歯なので、抜歯はできるだけ避けます。
犬歯のすぐ後ろにある「小臼歯:4番目の歯」を抜歯して、犬歯が入るスペースを確保します。
この場合、大切な永久歯を抜歯するというデメリットはありますが、正しい歯並びでしっかり噛めるようになり、歯磨きがしやすくなるため虫歯や歯周病リスクが減るという大きなメリットがあります。
〇1本1本の歯を少しずつ削ってスペースを確保
犬歯が少しだけ外側にはみ出している八重歯の場合、正しい位置に並ぶために必要なスペースが少しでいいので、抜歯をしてスペースを大きく確保する必要はありません。
隣接する歯を少しずつ削ってスペースを確保する方法があります。
歯の端と端を削る「スライス」と呼ばれる方法で、歯と歯が隣り合う部分を少しずつ(0.2mm~0.5mm程度)削って隙間を作る方法です。
ケース②矮小歯
矮小歯とは、上の歯の側切歯(中心から2番目)の歯や、親知らずに出現することが多く、通常の歯の大きさに比べてとても小さい歯のことをいいます。形は先のとがった円錐状、つぼみのような形の蕾状があります。
矮小歯があると全体的にすきっ歯であることや周りの歯より小さいので、見た目が良くない場合があります。
歯が小さいことで噛み合う歯が当たらないため、多くの場合噛み合わせにも問題があります。また、根っこも短いので、歯の寿命が短くなる場合もあります。
矮小歯の治療には主に
〇歯列矯正治療
〇歯冠修復治療
この2つ挙げられます。
〈歯列矯正治療〉
矮小歯があるとすきっ歯であることが多く、歯と歯の間の隙間を埋めるように歯を動かしていきます。上下の歯並びと噛み合わせを改善し、バランス良く整えていくことで、矮小歯が目立ちにくくなります。
〈歯冠修復治療〉
矮小歯が原因で隣の歯と隙間がある場合、その隙間を埋めるために矮小歯にかぶせ物をしたり、歯の表面にセラミックを貼り付けるラミネートべニアという方法があります。短期間にできるというメリットの反面、噛み合わせの問題は改善されないデメリットがあります。
ケース③捻転歯
捻転歯とは捻じれて生えている歯のことをいいます。特に上の歯の捻じれている歯が前歯(1番目の歯)だと口を開けると見えやすい歯なので、コンプレックスに感じている方は多くいらっしゃいます。
また他の歯と重なることが多く、汚れが溜まりやすく清掃しにくいため虫歯や歯周病になりやすいリスクもあります。
捻転歯の治療には
〇歯列矯正治療
〇抜歯
〇歯冠修復治療
があります。
〈歯列矯正治療〉
前歯の捻転歯の場合、捻じれの部分だけを治療して完了すると思われがちですが、実はねじれを治すのは簡単なことではありません。前歯だけの治療をすると出っ歯になったり他の歯が歪んだりすることがあります。
正しい向きに変えるために、歯が回転するスペースが必要になります。その場合、他の歯を少しずつ動かしてスペースを作っていくため、矯正治療でお口全体の歯を動かします。
〈抜歯〉
ねじれた歯が歯列からはみ出して生えている場合、噛み合わせや見た目に問題がなければ、抜歯をする場合もあります。
〈歯冠修復治療〉
ねじれた歯を削ってかぶせ物をして歯列を改善する治療です。そのために健康な歯を削ることや神経を取らなければならないデメリットが生じます。
尖っている犬歯、削るのは要注意!
尖っている犬歯を削って形を整えることはできます。
しかし、気を付けなければならないのは、歯の中で一番硬い部分のエナメル質を削る必要があることです。エナメル質を削ることで、エナメル質に守られているやわらかい象牙質が出てくる可能性もあり、冷たいものがしみる原因になります。
痛みがひどい場合は神経を取ることになります。神経を取ると歯は弱くなり、折れたり割れたりして寿命が短くなる可能性が高くなります。
犬歯は食べ物を噛み切る役割の他、奥歯を守る、噛み合わせがずれないように保つというお口の中でも重要な役割があります。
尖っている犬歯を削ることで犬歯の噛み合わせが不安定になり、他の歯へ負担がかかるようなります。その影響は奥歯のすり減りや噛みしめの原因になることもあります。
インビザラインなら、尖った八重歯も改善できます
八重歯は他の歯と重なって生えていることで、汚れが溜まりやすくなり虫歯や歯周病の原因の一つになります。また尖っていることで唇をケガしてしまう恐れもあります。
正しい位置に移動させることで見た目の改善はもちろん、歯並びが整うと噛み合わせも改善されます。
インビザラインなら、かわいいとイメージされる尖った歯を少し残しながら歯並びと噛み合わせの改善ができます。
八重歯にならないようにするためには、子供の頃から歯並びを整えることが大事です。当院では「インビザライン・ファースト」という小学生からできる治療を行っています。
大人の方の気になる八重歯も、患者さまお一人お一人のお口の状態・骨格などを詳しく診断をして、八重歯の状態がひどい場合も透明で目立ちにくいマウスピースの「インビザライン」で歯並びを整えることができます。
周南市ひだまり歯科医院では「矯正無料カウンセリング」を行っております。八重歯が少しでも気になる方はお気軽にご相談ください。