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ねじれた前歯が気になる!部分矯正が可能な条件とは?

監修:歯科医師 高島光洋


歯科用ミラーと笑っている女性の口元

歯が捻れたように生える「捻転歯」が前歯にあると、少し気になりませんか?前歯の捻転歯は部分矯正で治せる可能性があります。
部分矯正は、部分的に矯正治療を行う方法で、全体的に歯並びを治す全体矯正に比べて、治療期間も短く費用も抑えることができます。
ただし、部分矯正は適応症例が限られるため、適応できる歯並びかを歯科医師に診断してもらう必要があります。
今回は、「捻転歯を部分矯正で治す判断基準」や「部分矯正の注意点」などについてご説明いたします。

「部分矯正」と「全体矯正」の違いについて

矯正治療は大きく2つ「部分矯正」と「全体矯正」に分けられます。「部分矯正」は前歯の歯並びを改善し、見た目を改善することが主な目的となるため、比較的軽度の不正咬合の状態に適応されます。一方で「全体矯正」は奥歯の歯並びも改善することが可能で、見た目はもちろん咬み合わせの状態も改善することが可能です。

費用面や治療期間にも違いがあります。「部分矯正」は「全体矯正」と比べると低価格で行うことができ、歯を動かす本数や移動量も全体矯正よりも少ないので、治療期間も短いです。ただし、部分矯正が適応できない歯並びを無理に部分矯正で治そうとすると、逆に咬み合わせが悪くなったり再治療が必要になったりして、費用や治療期間が余分にかかってしまうこともあります。

「部分矯正」か「全体矯正」、どちらで矯正治療を行うかは、精密検査でお口の状態を調べてから、歯科医師による診断が必要です。

前歯が捻れる原因は主に3つ

歯の向きが真っ直ぐではなく、捻れたように生えている歯を「捻転歯(ねんてんし)」と言います。捻転歯は、遺伝やお口周りの癖などが原因でなることがあります。以下に、主な3つの原因についてご説明します。


①顎のサイズが小さい
顎のサイズが小さいと、歯が生えるスペースが確保されにくく、狭いスペースに無理に萌出しようとするので、歯が捻れて生えることがあります。

大人の方で、徐々に歯が捻れてきたように感じる場合は、親知らずが原因であることが考えられます。親知らずは歯列の一番奥に生えるため、生えるスペースが確保されにくく、斜めや横向きに生えるケースが多いです。そのせいで、手前の歯が押されて前歯の位置も動くことで、前歯が捻れたような状態になることもあります。


②乳歯の虫歯の進行
乳歯にできた虫歯に気づかず放置すると、歯の内部にある神経まで虫歯が進行することがあります。そうすると、神経の通る歯の根っこの先端にも細菌が増殖し、乳歯の根元で生える準備をしている永久歯にも影響が出ることがあります。
永久歯は、乳歯の根っこの先の細菌病巣を避けて歯茎から出てきます。それによって、永久歯が生える本来の位置からずれてしまい、捻れた状態で生えてきてしまうのです。


③お口周りの癖
指しゃぶりや爪噛みなどの癖があると、捻転歯になる可能性があります。もともと捻転歯ではない歯でも、これらの癖によって歯に小さな力が継続して加わることで、徐々に歯の位置が変化してしまうのです。一度動いた歯は自然に戻ることはありません。矯正治療でしか改善することができないため、早めにお口周りの癖を直すことが大切です。

ねじれた前歯に部分矯正は適応できる?

歯に捻れが生じている場合、歯の生えるスペースが全体的に不足している可能性が高いです。捻れた歯のみを移動させれば改善できそうに感じられますが、そもそも歯を動かすスペースさえ不足しているため、無理に動かそうとすると出っ歯のようになることもあります。

歯の捻れを改善するには、全体的に歯を移動させながらスペースを作ることが必要です。それによって、見た目はもちろん、咬み合わせなどの機能面での改善も可能になります。そのため、捻転歯の矯正治療には全体矯正が適応されることが多いです。

部分矯正では、数本の前歯の側面を歯に支障のない範囲で削ることでスペースを作った後、矯正装置を装着して歯を移動させます。
しかし、この治療方法を前歯のみに行うだけではスペースが足りない場合は、全体矯正が必要です。そのため、捻転歯を改善するために部分矯正が適応される症例は限られますが、条件が合えば可能な場合もあります。

部分矯正が可能な症例や条件などについて、具体的にご説明します。

部分矯正可能な症例もあります!

①咬み合わせは問題ないが歯並びのみに問題があるケース
部分矯正は、見た目を優先して治療を行う「審美治療」です。部分的に歯並びを治す治療で、前歯の歯並びに問題があり、奥歯の咬み合わせには問題がない場合に適応されます。奥歯の咬み合わせにも問題がある場合は適応されません。


②少ないスペース確保で歯並び改善が可能なケース
前歯は、歯列の中心から「中切歯」「側切歯」「犬歯」という順番で並んでいます。通常の歯並びであれば、それらの歯は左右対称で存在し、前歯は左右あわせて6本あります。

部分矯正では、歯を動かすスペースを作るためにIPR(ディスキングとも呼ばれます)という方法を行うことがあります。この方法は、1本の歯の側面を歯に支障のない範囲(約0.5mm)で削り、そのスペースを使って、歯に矯正装置を装着して歯並びを整えます。1歯につき約0.5mmなので、前歯6本では約3mmのスペースが確保できます。歯の捻れの改善が約3mm以内のスペース確保で可能な場合は、部分矯正が適応されやすいです。


③すきっ歯と歯の捻れが生じているケース
鳥が羽を広げたように、歯が捻れている前歯のことを特に「翼状捻転歯(よくじょうねんてんし)」と呼びます。この状態の歯は、歯と歯の間に隙間が生じる「すきっ歯(空隙歯列)」であることが多いです。すきっ歯の場合、元からある隙間を利用して歯を移動させることができるので、部分矯正が適応されることがあります。

部分矯正が適応可能か判断する基準とは?

①歯並びの程度
部分矯正は、主に前歯の矯正治療で適応されます。それは、部分矯正では大きく歯を動かすことが難しく、治せる範囲に限りがあるからです。
前歯が少しだけ捻れたように生えている状態であれば適応可能ですが、前歯の捻れが大きく歯の移動量が多くなることが予測される場合や、奥歯の咬み合わせが悪く一緒に改善する必要がある場合には適しておらず、全体矯正が必要です。
部分矯正が適応されるかどうかはご自身で判断することが難しいため、一度、歯科医院で診てもらいましょう。


②歯並びをどのくらい気にされているか
患者さんが、どのくらい歯並びを気にされているかによっても治療方法が変わることもあります。費用や期間も考慮して前歯だけ治したいと思われる方や、咬み合わせも含めて完璧な歯並びに治したいと思われる方、近々結婚式などの大事な予定があってどうしても前歯だけ改善したいなど期間を重視される方、歯並びに対しての希望は人によって異なります。
患者さんの理想の形に近づけることも大切ですが、それに伴うリスクが発生することもご理解いただかなければいけません。歯科医院では、それらをカウンセリングなどで丁寧に説明し、治療完了後の歯並びをシミュレーションするなど、患者さんに納得いただいた上で治療を開始します。
まずは、ご自身のご希望やお悩みをお聞かせください。それが、治療方法を選択する上での1つの判断基準になることもあります。

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部分矯正は主に2種類の方法があります!

部分矯正には大きく分けて2つの方法があります。マウスピース矯正と、ワイヤー矯正です。なお、ワイヤー矯正には、歯の表面に矯正装置を装着する「表側矯正」と、歯の裏面に矯正装置を装着する「裏側矯正」があります。これらの方法について具体的にご説明します。

①マウスピース矯正

【方法】 
▶樹脂製の透明なマウスピース装置を使用し、交換しながら歯を少しずつ動かします。
▶マウスピースの交換は、約2週間毎にご自身で行います。

【メリット】 
▶透明なマウスピースなので矯正装置が目立ちにくいです。
▶装置の取り外しが可能なため、食事や歯磨きを通常通り行うことができます。
▶歯の動かし方が小さく痛みを感じにくいです。(歯の動かし方が小さいと言っても、ご自宅でマウスピースの交換を行えるので、矯正期間は他の矯正治療方法とほとんど変わりません)

【注意点】
▶装置装着時間1日20時間以上を守ること、マウスピース型矯正装置の交換のタイミングを守ることが必要です。
▶自己管理が大切で、決められたとおりに装置を使用しないと期間が延びたり装置の再製作が必要になったりすることがあります。

【費用目安】 
▶30万円~50万円 (歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

【治療期間】 
▶3ヶ月~1年くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

【通院頻度】
▶2ヶ月に1回くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

②ワイヤー矯正

表側矯正

【方法】
▶前歯表面にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。
▶歯が動くスペースが足りない場合はIPR(歯の側面を削りスペースを作る方法)を行うこともあります。
▶IPRは歯に支障が出ない範囲で歯の側面を削ります。削る量は1歯につき約0.5mmまでと決められています。

【メリット】
▶歯を大きく動かせるので、多くの症例に適用できます。
▶装置が目立ちやすいですが、オプションで透明や白の装置に変更できる場合もあります。

【注意点】
▶金属の装置を使用することがほとんどで、矯正装置が目立ちやすいです。
▶装置が直接、歯に接着されているため歯磨きしにくいです。
▶装置が口の粘膜にあたったり、歯が動く時に痛みを感じやすいです。

【費用目安】
▶約30~60万円(歯並びの状態や追加オプションによって費用が異なります。前もって歯科医院に確認するようにしましょう)

【治療期間】
▶3ヶ月~1年半くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

【通院頻度】
▶1ヶ月に1回くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

裏側矯正

【方法】 
▶前歯の裏面にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。表側矯正との違いは、装置を装着する位置(歯の表側に付けるか裏側に付けるか)です。

【メリット】
▶歯の裏側に装置を付けるため、目立ちにくいです。
▶歯の裏側は唾液が循環しやすく、表側矯正よりも虫歯のリスクが低いです。

【注意点】
▶舌に装置があたり傷つくことがあります。
▶舌が動かしづらく発音がしにくいです。
▶高度な技術が必要なため、費用が高い傾向があります。

【費用目安】 
▶約30~70万円(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

【治療期間】
▶3ヶ月~1年半くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

【通院頻度】
▶1ヶ月に1回くらい(歯並びの状態や治療の進み具合によって変わります)

期間にこだわる方はセラミック矯正もあります

【方法】
▶ご自身の歯にセラミックの被せ物をして歯並びをキレイにします。
▶被せ物をつけるために、歯を削ってキレイに形を整えた上で治療を進めます。

【メリット】
▶歯を動かさずに治療を行うため、短期間で歯並びを改善できます。
▶白いセラミックの被せ物を使用するので、全体の歯の色味と合わせることができ自然な見た目にすることが可能です。

【注意点】
▶歯の位置が大きくずれている場合は適用できません。
▶歯に被せ物を被せるためには、健康な歯を大きく削る必要があり、歯の内部に通る神経にダメージを与えることがあります。(しみる、痛みなどの症状が出ることがあります)
▶歯と被せ物の間にわずかな境目ができるため、ケアを怠ると虫歯のリスクが上がります。

【費用目安】
▶1本の歯につき8万~18万円くらい

【治療期間】
▶歯の治療本数やお口の状態などに左右されますが、治療期間は約1~2ヶ月くらいです。

【通院回数】
▶2~3回くらいの通院が必要になります。(最終的な被せ物を作る前に、仮の歯を被せて見た目や咬み合わせをチェックしていただく場合は、その分通院回数が多くなります)

部分矯正において事前に知っておくべき注意点

○部分矯正は事前の検査での診断が大切
部分矯正は、歯並びの悪い部分のみ改善する治療です。そのため、本来は全体矯正が必要な治療に部分矯正を行ってしまうと、咬み合わせのバランスが悪くなってしまうこともあります。咬み合わせのバランスが悪くなると、歯のすり減りが早くなったり、歯が欠けてしまったりすることがあります。他にも、歯周病や虫歯のリスク、発音、咀嚼機能といった悪影響も考えられます。

部分矯正が可能か、あるいは全体矯正が必要かを判断するためには、CTスキャンやセファロなどを使用して精密検査を行います。検査を受けていただいた上で、歯科医師と相談して治療方法を決めましょう。
部分矯正にこだわり過ぎてしまうと、途中で全体治療への切り替えが必要になり費用や期間がさらにかかってしまったり、理想の歯並びにならなかったりすることもあります。


○後戻りする可能性が高い
部分矯正で作り出すスペースには限りがあります。重度の歯並びに部分矯正を行った場合、治療後しばらくは歯並びが改善します。しかし、少ないスペースに無理矢理歯を並べるため、歯並びが元に戻る「後戻り」が起きやすいです。

また、一部分だけ歯並びが悪いように見えても、その原因には全体的な歯並びが関係していることもあります。

部分矯正は適応範囲が限定されているので、部分矯正が可能かどうか検査を行い、歯科医師に慎重な診断を行ってもらいましょう。


○歯の側面を削ることもある
部分矯正では、1本の歯の側面をほんの少し削って歯を動かすスペースを作る「ディスキング」を行うことが多いです。削る量は、歯に支障のない範囲である「1歯につき0.5mm以内」と決められています。
ただし、歯の表面にあるエナメル質が薄くなるので、しみる症状が出ることがあります。ほとんどの場合は一過性の症状ですが、中にはずっと続く方もいらっしゃいます。

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部分矯正では、歯科医師の診断が特に重要です。本来は、歯並び全体を矯正治療する「全体矯正」が必要な症例なのに「部分矯正」を行ってしまうと、再治療が必要になることもあります。それによって治療期間が長引いたり、費用が追加で必要になったりすることも少なくありません。
部分矯正には、治療期間が短い、費用が抑えられるなど、魅力的なメリットがありますが、これらにこだわりすぎてしまうと、後々のトラブルに繋がる恐れがあるため注意が必要です。

歯は一生使っていくものです。歯並びに問題がある場合は、その問題を根本から治せるような治療法を選び、長く快適にその機能を果たせる整った歯並びをゴールとすることこそが、矯正治療の1番の近道であると言えます。

当院では、矯正治療に必要な機器や器具を充実させております。部分矯正は適応症例が限られているため、精密検査を行った上で、慎重に診断させていただきます。前歯が捻れて生えているのが気になる方、部分矯正に興味がある方、ぜひ当院にご相談ください。無料カウンセリングも随時実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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