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歯周病と矯正治療の関係とは?矯正医による解説

監修:歯科医師 高島光洋


洗面台においてある矯正装置と歯ブラシとコップ

歯並びで悩んでいるけれど、歯周病のため矯正できるか心配…。矯正治療で歯周病が悪化したらどうしよう。今回、矯正医がこれらの疑問を解説します。

日本人が歯を失う原因第1位の歯周病とは?

現在、30代以上の3人に2人が歯周病に罹患していると言われています。
では、歯周病とはどのような病気でしょうか?

歯周病は、歯茎や歯槽骨など、歯を支える部分が炎症によって徐々に溶かされ、最終的に歯を失う病気です。初期の症状として、歯茎の腫れや出血、進行が進むにつれて歯のグラつきが見られることがあります。虫歯のように痛みを伴う場合、多くの人が歯医者へ受診するかと思いますが、歯周病は自覚症状が少なく進行します。そのため、気づいた時には病状が進行しているケースが多いのです。

実際、日本の歯科健診の受診率は44%に留まっています。これは、半数以上の人が定期的な検診を受けていないことを示しており、早期発見の機会を逃してしまうことが、歯を失う原因の第一位となっています。

気になる歯周病の原因とは?

歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)です。毎日しっかりと歯を磨いても、歯の隙間や歯の並びの関係で磨きにくい箇所ができてしまい、そこにプラークが残りやすくなります。2週間も経つと、このプラークは唾液の成分と結びつき、硬い歯石に変わってしまいます。
プラークは柔らかいので、歯ブラシや歯間ブラシを使えば取り除くことができます。しかし、一度歯石になると、普通の歯磨きでは取り除けません。歯石のざらついた表面はプラークが付きやすく、その結果歯茎に炎症を引き起こし、虫歯や歯周病の原因となります。

歯周病改善方法の1つに矯正治療

矯正治療を受けることで、歯並びを改善するメリットは、単なる見た目の向上だけにとどまりません。でこぼこした歯並びは、歯ブラシが届きにくい場所を生むことで、磨き残しの原因となり、それが虫歯や歯周病のリスクを増加させる可能性があります。実際、矯正治療によって良好な歯並びにすることは、歯周病の予防・改善に非常に有効です。年齢に関わらず、自身の歯を健康に保つために、矯正治療を考えることは、非常に賢明な選択だと思います。

歯周病でも矯正治療は可能?

歯周病の進行状況によりますが、歯周病があっても矯正治療は可能です。歯周病の進行により、歯の安定性が失われ、歯並びが乱れることがあります。
歯周病の主な原因は、不十分な歯磨きです。
歯磨きが難しい状態を改善するために矯正治療を行うことで、歯を守る助けとなります。
しかし、現在の歯周病の状態で矯正治療を始めると、装置の装着により歯磨きがさらに難しくなる恐れがあります。

矯正治療前には歯周病治療を

歯周病の進行状態に応じて、矯正を始める前に歯周病の治療を行う必要があります。具体的な治療方法についてお伝えいたします。

歯周病の基本治療

軽度の歯周病の場合、原因となる歯垢や歯石の除去が必要です。具体的には、歯科医院で超音波の機器を使用し、歯の表面の歯垢や歯石を除去します。さらに、歯垢が再付着しにくくするためにPMTCクリーニングを行います。しかし、再付着を防ぐためには、日常のホームケアが欠かせません。歯ブラシやデンタルフロスを使って、毎日の歯磨きをしっかりと実施することが大切です。

歯周病の症状が重度の場合

重度の歯周病が進行している場合、通常の治療だけでは治療が難しいことがあります。状態が非常に悪く、予後が良くないと判断された時には、抜歯の選択を行う場合もあります。
抜歯後は、矯正治療で抜いた部分のスペースを詰めて整える方法や、インプラントを挿入してから矯正治療を行う方法などが選択されることがあります。
ただし、炎症がまだ残っている状態では、インプラントや矯正治療の進行は困難です。
まずは、歯周病の状態を抑えることが必要です。

矯正治療を開始する適切な時期

歯周病が進行している状態で矯正治療を行うと、余計に進行してしまう可能性があるので、しっかり治療をおこなってから始める必要があります。
矯正を始める前に歯周病の検査を行い、ポケットの深さが4ミリ以上ある場合はプラークコントロールやポケット内の歯周病菌を減少させた上で、歯周組織の安定を確認してから治療を行います。

矯正治療中は特に歯周病に注意

矯正を受けること自体が歯周病を進行させるわけではありません。
それでは、歯周病のリスクが高まる状況とはどのようなものでしょうか?
歯周病の主な原因は、不十分な歯磨きによるものです。磨き残しの場所があると、そこで細菌が繁殖し、歯茎の炎症や歯槽骨溶かしてしまいます。
矯正治療は、このような歯磨きが難しい部位を改善するために行われるものです。
しかし、矯正治療中、特にワイヤーやブラケットを使用する際、歯の表面に装置がつくことで、磨きにくい場所が増える可能性があります。そのため、リスクは少し高まります。
また、取り外し可能なマウスピース型の矯正装置でも、適切な洗浄が行われていない場合、同様の問題が生じる可能性があります。
一般的な歯磨きだけでは、これらのリスクを完全に排除することは難しいです。そのため、定期的に専門的なケア、特に歯科衛生士による検診を受けることを強くお勧めします。

矯正治療中における歯周病予防のポイントは?

矯正治療中の歯周病予防は非常に重要です。

1. 歯科での定期クリーニング
ご自身のケアだけでは十分ではありません。
専用の機械を使用して歯の表面や歯周ポケットのクリーニングを歯科医院で行うことをおすすめします。
定期的なクリーニングは歯周病や虫歯の早期発見につながります。

2. 歯磨き道具の選択
歯科医院での訪問を通じて、歯科衛生士から適切な歯ブラシや補助道具の使い方を学ぶことができます。
一般的な歯ブラシだけでは約58%の汚れしか取り除けないのに対し、フロスや歯間ブラシを使用することで約86%まで落とすことができます。歯間ブラシは、適切なサイズを選ぶことが重要です。

3. インビザラインや取り外し可能な装置のケア
装置の適切な洗浄は必要です。
汚れた状態での装置の装着は、歯周病や虫歯のリスクを増加させる可能性があります。
通常、水洗いが一般的ですが、気になる汚れがある場合は、歯ブラシで優しく洗浄することも有効です。
匂いや雑菌が気になる方は市販の洗浄剤の使用をお勧めいたします。

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歯周病のリスクを軽減することは、口腔の健康を維持する上で欠かせません。
一番効果的なのは、定期的な歯科医院でのメンテナンスと専門家のケアを受けることです。
しかし、日常生活の中で毎日歯科医院に通うのは現実的ではなく、また経済的にも負担になってしまいます。
このため、毎日のセルフケアが非常に重要となります。自分自身でのメンテナンス、特に適切な歯磨きは、歯周病のリスクを大きく減少させる手段として効果的です。
ワイヤー矯正や固定の装置がついている場合、一部の歯磨きが困難となることがあり、磨き残しやプラークがつきやすくなるため、歯周病のリスクを高める要因となります。
このようなことから、取り外し可能なインビザラインがお勧めです。取り外せるタイプの装置は、磨き残しを減少させるだけでなく、メンテナンスのしやすさも魅力として挙げられます。
装置を取り外して、日常の歯磨きを徹底的に行うことができるので、矯正治療中であっても歯の健康を維持することが可能です。
歯周病予防のためには、専門家のケアと併せて、日常のセルフケアを徹底することが不可欠です。矯正治療を検討している方は、自身のライフスタイルやケアのしやすさを考慮し、最も適切な装置を選ぶことをおすすめします。

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