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学校歯科検診で「要注意乳歯」が見つかった時に行うこと

監修:歯科医師 高島光洋


歯ブラシを持ち大きく口を開けている男の子

お子さんの学校の歯科検診で「要注意乳歯」にチェックされたことはありませんか?虫歯ではないし、お子さんが痛みを感じていないので、そのままにしていませんか?
「要注意乳歯」は将来の歯並びに影響する可能性もあり、また、虫歯や歯肉炎のリスクを高める原因にもなります。
今回は「要注意乳歯が見つかった時に行うこと」、「要注意乳歯の治療法」、「要注意乳歯を放置するリスク」などについてお伝えします。

「要注意乳歯」ってどんな乳歯?

学校の歯科検診では、主に「歯」、「歯茎」、「歯垢」、「咬み合わせ」、「歯並び」の状態についてチェックします。特に、歯の生え換わり時期に、将来の歯並びや咬み合わせに悪影響になりそうな乳歯については「要注意乳歯」としてチェックされるケースがあります。
「要注意乳歯」とは、永久歯が生え始めているのに、なかなか抜けない乳歯のことをいいます。永久歯と乳歯の生え換わりがうまくいかないと、永久歯が歯の列からずれてしまい、正常な位置に生えてこないことがあります。そうすると、歯磨きがしづらく汚れがたまりやすくなったり、将来の咬み合わせや歯並びが悪くなってしまうリスクにも繋がります。また、生えてくるはずの永久歯がずっと埋まったままで「埋伏歯」となり歯の本数が本来の数より減ってしまう場合もあります。

「要注意乳歯」があれば、まずは歯科医院を受診しましょう

要注意乳歯は、虫歯と違って特に痛みがでるわけではないので、そのままでもいいんじゃないのと思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、歯科医院を受診しても「経過観察」とされる場合と、「抜歯」が必要となる場合があります。しかし、その診断はレントゲン写真撮影を行い、乳歯の根っこの吸収度合いや、永久歯の成長度合い、生える位置などを確認した上で診断されます。自己判断でそのままにしておくのはおすすめできません。
また、要注意乳歯をご家族あるいは本人が無理矢理抜こうとすると、乳歯の根っこの部分が折れて、その一部が歯茎の中に残ってしまうこともあります。
そのため、学校の歯科検診結果で「要注意乳歯」にチェックされていれば、早めに歯科医院を受診していただくことをおすすめします。必要であれば要注意乳歯を抜歯することで、将来の歯並びや咬み合わせの影響を少なくできる可能性もあります。

治療が必要となる「要注意乳歯」とは?

・永久歯が生えそうなのに乳歯がグラグラしていない
通常は、乳歯の真下で永久歯が生える準備をしています。永久歯が生えてくる時は、徐々に乳歯の根っこが吸収され短くなるため、乳歯がグラグラ揺れて、しばらくすると抜けます。その後に、永久歯が生えてくるのが正常な生え換わりになります。しかし、永久歯が生えかけているのに乳歯の揺れがみられない場合は、歯科医院での処置が必要になることがあります。

・永久歯が乳歯と重なって生えている
乳歯がまだ抜けていないのに、永久歯がその前あるいは横から重なるように生えてきて、歯の列からずれて生えてきた場合は、将来的に歯並びや咬み合わせが悪くなる可能性があります。
永久歯が生えていない場合でも、歯茎のもりあがりなどをみて、永久歯が本来生える位置とズレて生えてきそうなときは、要注意乳歯としてチェックされます。

・虫歯により歯が脆くなっている
虫歯の進行により、神経を抜く治療を行った乳歯は、歯自体が脆くなってしまいます。そのため、欠けてしまう場合もあります。また、生え変わりの時期になっても、なかなか抜けないこともあります。

・乳歯の根っこ部分が欠けた
乳歯は永久歯に比べると、表面の歯質(エナメル質・象牙質)が薄くやわらかいです。そのため、グラグラしている乳歯を無理に抜いてしまうと、欠けることがあります。乳歯の根っこ部分が欠けた場合は、歯茎内部に残ることがありますが、そのまま自然に吸収されていくことが多いです。本人やご家族か乳歯を抜いた後に、歯茎に腫れや痛みが生じた場合は、歯茎に歯の欠片が残っている場合もあるので歯科医院を受診しましょう。


・乳歯がくっついて生えている
乳歯の中には、2本の歯がくっついて1本の歯として生えてくることがあります。これを「癒合歯」といいます。下の乳歯に起こりやすいです。癒合歯は生え換わりの時期になっても根っこが吸収されず、永久歯が生えにくくなることもあります。乳歯が抜けた後に生えてくる永久歯が1本の場合もあります。この場合は、2本あるはずの永久歯が先天的に1本欠如していることになります。お子さんがレントゲン写真を撮れる時期(4歳頃)に撮影を行い、永久歯の状態を確認してもらいましょう。

・グラグラしている乳歯の歯茎が腫れている
乳歯がグラグラ揺れているのに、なかなか抜けない状態が続いていると歯磨きもしづらく、歯と歯茎の境目に汚れが溜まりやすくなります。そうすると、細菌も増殖しやすくなり、細菌感染により歯茎が炎症を起こして、出血や痛みを伴うこともあります。

・数ヶ月たっても乳歯が抜けない
乳歯は6歳前後から抜け始め、中学生になる時期くらいには全て永久歯に生え揃います。しかしながら、生え換わりが行われず、大人の方の中には乳歯がそのまま残存しているケースもあります。
その原因には、永久歯が先天的に存在していない、永久歯の成長が遅れている、永久歯が骨に埋まって出てこない(埋伏歯)、などが挙げられます。乳歯がなかなか生えてこない場合は、レントゲン撮影を行ってもらい、永久歯の有無や状態を確認してもらいましょう。

「要注意乳歯」に行われる治療法とは?

要注意乳歯で治療が必要となる場合は、抜歯を行います。永久歯の生える妨げとなりにくいように、抜歯が必要な時期を見計らって行います。乳歯を抜歯する時期は、レントゲン撮影を行って乳歯の根っこや永久歯の状態を確認してから決めます。経過観察になる場合もありますが、その場合は、歯が自然に抜けるまで定期的に歯科医院で診てもらいましょう。

お子さんの歯を抜歯することに対して心配される親御さんもいらっしゃいますが、乳歯の抜歯は麻酔後数分で終了します。麻酔を行う際にも、麻酔の痛みを感じにくくするために塗るタイプの麻酔(表面麻酔)を行うこともできます。また、麻酔の量も乳歯の抜歯だと少なめで行うことができますし、抜くときの痛みを感じにくいです。本人や家族の方がグラグラ揺れている歯を無理に抜いてしまうと、痛みを伴い、乳歯の一部が欠けて歯茎内部に残ってしまう可能性もあります。

生まれつき存在しない永久歯(先天欠如歯)の場合は、大人になってからも乳歯が生えたままになります。そのため、長期間、乳歯の健康を保つために、あらかじめお口のケア方法を知っておくことが大切です。歯科医院を受診すれば、歯のケアについても聞くことができます。

「要注意乳歯」をそのままにした場合に起こり得ること

・歯並びに影響する
永久歯が生えようとしているのに、乳歯がなかなか抜けない場合は、乳歯が永久歯の生える妨げになり、永久歯が正常な位置からずれて生えてくる可能性があります。
逆に、乳歯が抜けるのが早い場合、その部分にスペースができたままになります。そのままにしておくと、そのスペースに隣の歯が傾いてきたり、移動してくることがあり、永久歯が生える妨げとなります。
乳歯の抜けるタイミングがずれてしまい、そのまま放置してしまうと、永久歯が生えるスペースが確保されにくく、将来的に歯並びが悪くなる可能性があります。

・虫歯ができやすい
乳歯が抜けていないのに、永久歯が生えてくると、乳歯と永久歯が重なりあった状態になります。そうなると、重なった部分に歯ブラシがあたりにくく、汚れが溜まりやすくなるので虫歯になるリスクが高くなります。
乳歯が早く抜けた場合もスペースがあくことで、隣の歯の側面に汚れが溜まりやすくなるため、歯磨きで意識的にケアすることが必要になります。
まずは歯科医院を受診し、必要であれば抜歯を行ったり、歯磨きのやり方を聞いておくと、虫歯予防に繋がります。

・歯肉炎になりやすい
乳歯が長い期間グラグラしていたり、乳歯が抜ける前に永久歯が生えて乳歯と永久歯が重なり合っている状態では、歯磨きもしづらく、汚れが溜まりやすくなります。そうすると、虫歯だけではなく、細菌感染による歯茎の炎症(歯肉炎)が生じ、歯茎が腫れたり出血や痛みを伴う事があります。
この場合も、まずは歯科医院を受診し、必要であれば抜歯を行ったり、歯磨きのやり方を聞いておくと、歯肉炎予防に繋がります。

・咬み合わせに影響する
要注意乳歯をそのままにしておくと、歯がずれて生えたり、傾いて生えたり、永久歯が骨の中に埋まったままになってしまうこと(埋伏歯)もあります。そうすると、本来、咬み合うはずだった歯が咬み合わなかったり、歯の本数が減ることで左右の咬み合わせが変わってくることもあります。
咬み合わせが悪くなると、咀嚼効率が下がり消化器官への負担が増えることで全身に影響することもあります。また、歯の寿命が短くなる原因にもなります。

「要注意乳歯」を予防するためにできること

仕上げ磨き時に歯の生え換わりをチェックしてみましょう

乳歯の本数は上下合わせて20本、永久歯は28本(親知らずは含みません)です。乳歯が抜けて永久歯が生えてくる順番についてご説明します。

まず最初に、下前歯の乳歯が抜ける頃に、奥歯となる「6歳臼歯(第一大臼歯)」が生え始めます。次に7歳頃になると上前歯の乳歯が抜けて、永久歯が生え始めます。11歳頃には犬歯が生え始め、その後、順に奥歯の乳歯が抜けて永久歯に生え換わっていきます。12〜14歳頃には、親知らず以外の全ての永久歯が生え揃います。ちなみに、親知らずが生えるのは遅く17〜21歳くらいで、もともとない場合や埋まったまま生えてこない場合もあります。

生え変わりの時期は特に、仕上げ磨きをするタイミングで親御さんが歯の状態をチェックしてあげましょう。

仕上げ磨きのチェックポイント

  • 虫歯…歯に茶〜黒色の筋ができていないか
  • 歯並び…奥歯を噛み合わせてイーの状態で、上下の間の隙間や、歯並びにデコボコの部分はないか
  • 歯肉炎…歯茎が他の歯茎より赤くなっていないか。歯磨きした時に出血はないか
  • 歯の動揺…グラグラ揺れている歯がないか。歯茎から永久歯が透けてみえていたり、歯茎が盛りあがったりしていないか

お子さんの歯で気になることがあれば、歯科医院を受診しましょう。

歯科医院での定期検診を受ける

歯の生え換わりの時期は、歯も生えかけで背が低い状態だったり、乳歯が抜けて永久歯がまだ生えていなかったり、歯磨きがしづらい状態です。
また、生えてすぐの永久歯は歯の質が未熟で虫歯のリスクが高いです。

そのため、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングを行うことは、歯を虫歯から守るために効果的です。

虫歯のチェック以外にも、歯の生え変わりの状態、歯並び・咬み合わせのチェックも受けられます。また、一緒にクリーニングを行うことでお口全体をしっかり洗浄することができます。
歯科専用のフッ素塗布を行うことは、生えかけで未熟な状態の永久歯の歯の質を強くする効果もあるのでおすすめです。

もちろん、お家での歯みがきも重要なので、もし磨きにくい部分があれば、担当の歯科医師や歯科衛生士に相談してみましょう。

クリーニングを受けても、お口の中の状態が戻ってくるのは、約3ヶ月後くらいです(個人差があります)。
そのため定期検診を受けていただく目安は3ヶ月前後くらいになります。そのくらいの間隔であれば、もし虫歯ができたとしても、大きく進行する可能性も低く、早い段階で虫歯治療を始められるケースが多いです。

予防矯正という方法もあります

乳歯と永久歯の生え換わりのタイミングが悪く、永久歯が正常な位置よりずれて生えてくることがあります。そうすると将来的に歯並びに影響する可能性があります。
歯並びが悪くなる原因には遺伝も関係しますが、姿勢や口周りの癖、呼吸方法など日常的に行っていることも大きく関係しています。

予防矯正においては、それらの日常的な癖をトレーニングにより正しく行えるようにします。予防矯正は骨格の成長が著しい時期である5歳〜6歳くらいから始められると効果的です。受け口の傾向が見られるお子さんは4歳くらいから始める子もいます。お子さんの発育の状態や歯並びの状態をみてトレーニングをスタートする時期を決めることができます。トレーニングでは、顎の正しい成長を促進しながら、歯並び・咬み合わせを整えていきます。

予防矯正についての無料カウンセリング実施中です!

予防矯正は、骨格が発達するタイミングで行うことにより、治療効果が高まりやすいです。顔の骨格が発達するタイミングは歯の生え換わり開始時期である5〜8歳が著しく、予防矯正の適齢期となります。(生え換わりには個人差があるので、適応年齢が前後することもあります。)
指しゃぶりや舌の動かし方の癖、口呼吸等の歯並びが悪くなる原因を改善したり、必要であれば取り外しのできる装置を使用し、顎骨の成長を促進し歯が並ぶアーチを拡大するなどして、歯並びや咬み合わせを整えていきます。

トレーニングでは痛みの出にくい取り外しのできるマウスピースを使用するので、お子さんの負担も少ないです。
マウスピースを口の中に着ける時間を守りながら、トレーニングを継続していくことが、治療効果を高める鍵となります。

お子さんが継続して行えるのか心配になる親御さんもいらっしゃるかと思います。お子さんの成長を確認しながら、治療の開始時期をご提案させていただいたり、治療開始後も定期的に医院でみさせていただきながら、親御さんと協力してお子さんのトレーニングを進めていきます。

当院では、無料カウンセリングも実施しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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