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インビザラインは重度の叢生でも治療できる?叢生の治療方法とは

監修:歯科医師 高島光洋


歯並びがデコボコしている状態を「叢生」といいます。特に前歯で見られることが多い症例です。叢生が気になり、笑う時や話をする時に、口元を隠してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?

叢生は軽度から重度までありますが、重度の状態でもマウスピース型矯正インビザラインが適応できる場合もあります。

今回は、叢生に関する「将来的なリスク」「矯正治療方法」についてお伝えします。



叢生とは?歯並びの状態と原因について

叢生とは、歯並びがキレイなアーチを描かず、ガタガタになっている状態をいいます。別名、“乱ぐい歯”とも呼ばれます。

前歯から3番目の歯を犬歯といいますが、犬歯が歯並びの外側にズレている状態を“八重歯”といいます。八重歯も叢生に分類されます。

叢生の原因は大きく五つ考えられます。

顎と歯のサイズのバランス

顎骨が小さい割に歯が大きい状態だと歯の生えるスペースが足りず、歯が重なって生えることがあり、叢生になりやすくなります。

遺伝

歯並び自体が遺伝するのではなく、歯や顎骨の大きさが遺伝します。歯や顎骨の大きさのバランスが悪いと叢生になりやすくなります。

顎の発育

顎の発達には食生活なども関係しており、柔らかい食べ物しか食べてないと顎の発達が進まず、顎骨が小さいままになってしまうと叢生になりやすいくなります。

乳歯の早期脱落

虫歯や外傷などが原因で生え変わりの時期より早く乳歯が抜けてしまうと、永久歯が生えるまでに長い期間が必要になります。その間に、隣の歯が傾いてきたり、空いたスペースに移動してくることで、叢生になることがあります。

小さい頃のお口の癖

小さい頃に舌で歯を押す癖や爪噛みの癖があると、叢生になることがあります。歯の並びは、唇の力(外側からの力)と舌の力(内側からの力)とのバランスによって決まります。舌で押す力が強いと下の歯が前方向に移動してくることもあります。また爪噛み癖があると前歯が前方に出たり傾いてくることがあります。

叢生をそのままにして起こり得ること

虫歯ができやすい

歯と歯が重なっていたり、歯並びが凸凹していると、普通に歯磨きをしていても汚れを落とすこと自体が難しくなります。磨き残した汚れが細菌を繁殖させ、細菌の塊であるプラーク(歯垢)や歯石を作り出します。それが原因で虫歯ができやすくなります。

歯周病にかかりやすい

歯周病は30代から罹患率が高くなります。歯周病もプラーク(歯垢)が大きな原因となります。また、叢生により咬み合わせが悪く、噛む力が集中的にかかる部分があると歯周病は進行しやすくなることがあります。歯周病は少しずつ進行し、虫歯と違って痛みが出にくいため気がついたときには重症化している場合があります。

消化器官への影響

歯並びが凸凹していることで、咬み合わせが悪くなると食べ物を噛む力(咀嚼力)も低下します。お口は消化器官の1つで、食べ物が1番最初に通る第一の消化器官になります。お口での咀嚼が不十分だと、その後に食べ物が送られる消化器官である胃や腸への負担をかけることになります。

口臭の原因にもなりやすい

口臭の最大の原因は歯周病です。歯周病が進行すると口臭も強くなります。歯並びが凸凹で歯磨きが不十分になり歯周病菌が増殖すると、お口の中のタンパク成分をもとにして、口臭原因物質(揮発性硫黄化合物)を多く発生させます。

叢生に適用される矯正方法について

叢生に適用される矯正治療方法は主に3つあります。

表側矯正

一般的によく知られており、従来から行われている方法です。歯の表面に金属の矯正装置を接着し、ワイヤーを通して3次元的に歯を移動させます。
金属の装着だと目立ちますが、白いセラミックや透明のプラスチックの装着や白いワイヤーなどを使用し、極力目立ちにくくすることも可能です。

裏側矯正

表側矯正と同じように、装着を歯に接着しワイヤーを通すことで歯を3次元的に動かすことができます。装置をつける位置が歯の裏側のため、ほとんど目立つことなく矯正治療を進めることができます。内側に装置があることで、最初は舌に違和感を感じやすいです。

マウスピース矯正

透明なマウスピースを矯正装着として使用するため、目立ちにくいのが特徴です。取り外しも可能なため、食事や歯磨きは普段通りに行えます。2〜3ヶ月毎の通院で歯科医師により調整を行いますが、その間はご自身でマウスピースを交換することで、少しずつ歯が動かしていきます。条件によりますが、叢生治療でも適応されることは多いです。

歯を並べるスペースはどうやって作る?

叢生は、そもそも歯が並ぶスペース自体が存在しないために起こります。

そのため、叢生の矯正治療で最初に必要になるのが歯を並べるスペースを作り出すことです。「歯を並べるスペースを作り出す方法」はお口の状態によって違いますが、主に4つの方法が挙げられます。

抜歯を行う

矯正で抜歯を行う場合は、小臼歯がその対象になることが多いです。

小臼歯の横幅は7~8mm程の大きさです。そのため左右両側の小臼歯の抜歯を行うと14~16mm程のスペースを作り出すことができます。

親知らずが生えている方は親知らずを抜歯することでスペースを作ることもあります。広いスペースを作り出せるため、重度の叢生の治療に適応されることが多いです。

拡大床を使用

顎骨を拡大して歯が並ぶアーチを大きくすることで、スペースを作り出します。床矯正とも言います。

取り外しができる装置を上顎に装着し、装置のネジを少しずつ回転させることで顎骨の横幅を広げていきます。

顎骨の成長が活発な時期である子供の時期に適応されることが多いですが、大人の方にも適応できる場合もあります。

ディスキング

ディスキングとは、IPR、ストリッピングなどとも言われます。

歯の表層には、厚み2~3mmのエナメル質と呼ばれる組織が存在します。その側面を1本の歯につき0.5mmまでの範囲で削りスペースを作り出します。この処置を前歯6本に行うと、3mmのスペースを確保できる計算になります。前歯以外の歯にもディスキングを行えば5mmくらいのスペースを作り出すことができます。

削るというよりは、ヤスリで磨くような処置であるため、痛みやしみる症状は出にくいです。

歯の後方移動

矯正装置を使用して奥歯を後ろ側に動かすことで、歯を並べるスペースを作ります。特にマウスピース矯正で得意とされる処置になります。

お口の状態によって適用できない場合もあるので、歯科医師の診断を受けて相談をすることが必要になります。

重度の叢生でもインビザラインが適応できる方法もあります

インビザラインは奥歯を後方に動かすことに適しているので、叢生の治療の場合にも非常に有効です。

もし、インビザラインだけでは歯の移動が難しい場合は、アンカースクリューと呼ばれる装置を併用することがあります。「インプラント矯正」とも呼ばれる方法です。

アンカースクリューは直径1〜2mm、長さ5〜10mmのチタン製のネジです。それを顎骨に埋入して歯を移動させる固定源を作ることで、歯の移動距離を大きくすることが可能になります。

他にも、インビザラインとワイヤー矯正を併用する方法もあります。

大きく移動が必要な箇所をワイヤー矯正で動かした後に、インビザラインで細かい歯の移動を行います。ワイヤー矯正のみでは、見た目が気になったり、食事や歯磨きのしづらさがありますが、インビザラインと一緒に行うことでその期間が短くなり、負担が軽減されます。

このように、重度の叢生の場合でも、治療法を併用することでインビザラインでの矯正が可能になります。しかしながら、骨格に原因があるような叢生の場合はインビザラインが適応できない場合もあります。

叢生の治療、インビザラインの治療をご希望であれば、一度ひだまり歯科医院にご相談ください。ご自身のお口の状態がどのような治療方法が適しているのか、診査診断のうえご相談をさせていただきます。

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