矯正歯科ブログblog

  1. ひだまり歯科医院矯正歯科特設サイト
  2. 矯正歯科ブログ
  3. ガミースマイル・口ゴボを改善!アンカースクリュー矯正とは?

ガミースマイル・口ゴボを改善!アンカースクリュー矯正とは?

監修:歯科医師 高島光洋


口角に両人差し指を添えて笑っている女性

口を閉じたときに口元が盛り上がっていることや、歯を見せて笑うと上の歯茎が目立つことに悩まれてはいませんか?そのお悩み、歯科矯正治療で改善できるかもしれません。これらの症状は、それぞれ「口ゴボ」「ガミースマイル」と呼ばれ、効率的に治す方法としてアンカースクリューという装置を使用して矯正治療が行われることがあります。今回は、アンカースクリューを使用した矯正治療の「メリット・デメリット」、「応用方法」、「治療時の痛み」などについて詳しくご説明します。

アンカースクリューで治療をさらに効率的に

アンカースクリューとは、矯正専用のインプラントです。アンカースクリューを使用する矯正治療を「インプラント矯正」と言います。歯を失った方に対して、人工歯として使用するインプラントとは形態が大きく異なり、アンカースクリューは直径15mmくらいの小さいネジのような形をしています。顎骨に埋め込み歯を動かす固定源とすることで、強い力を歯にかけて移動させることができます。これによって難易度の高い歯の移動も可能になります。ずっと使用し続けるものではなく矯正治療完了後は取り外します。

骨格が原因となってガミースマイルになっている場合、歯を歯茎に押し込むように移動させる必要があります。このような複雑な歯の移動にも、アンカースクリューが適応されることもあります。
また、ヘッドギアなど頭周りにも装置を装着し固定源として使用することもありましたが、アンカースクリューにより口の中に固定源を設置することができるようになりました。(子供矯正では骨がやわらかいため、ヘッドギアなどの顎外固定装置を使用することがあります。)そのため、アンカースクリューを使用することによって、強い固定源を口腔内に設置でき、効率的に歯を移動させることが可能になったため、特に成人矯正への適応範囲が広がっています。

アンカースクリューの利点と注意点について

<アンカースクリューの利点>
①治療期間短縮に繋がる
アンカースクリューは顎骨に埋め込んで使用するため、矯正治療において強い固定源となります。強い固定源があると歯に強い力をかけやすく、三次元的に、比較的大きく歯を動かすことができるため、治療を早く進めることが可能です。

②抜歯リスクが減る
矯正治療では、奥歯を固定源にして歯を移動させますが、一番奥の歯を後ろ側に移動させる場合は、アンカースクリューを利用して奥歯を後方に移動させることもできます。奥歯を後方移動させることで、他の歯を移動させるスペースが確保しやすくなるため、矯正における便宜抜歯が必要なくなるケースもあります。

③治療負担の軽減
骨格が原因となるガミースマイルは「上唇粘膜切除術」や「上顎骨切り術」などの比較的大がかりな外科手術が必要になります。大きな外科手術を行うと、傷口が治るのにも時間がかかります。しかし、アンカースクリューにおいては、埋入手術は15分程度、傷口が治りアンカースクリューが安定するのは約1ヶ月となります(あくまで目安で、埋入時間・傷口の治りには個人差があります)。アンカースクリューの安定が確認されてから矯正矯正治療を始めていきます。

頭部にベルトを装着して固定源とする「顎外固定装置」を使用する治療方法もありますが、目立つため使用時間が限られます。しかし、アンカースクリューはその装置のかわりにもなり、口腔内に装着できるため、見た目もほとんど気にせず使用できます。目立ちにくいという点でも、アンカースクリューは治療における負担を減らすことができます。

④症例の適応範囲が広い
アンカースクリューの使用により強力な固定源ができるので、歯に比較的強い力をかけることが可能になります。そのため、複雑な歯の移動も行うことができ、出っ歯や受け口、開咬、ガミースマイルなど適応できる症例範囲が広いです。

<アンカースクリューの注意点>
①外科的な治療が必要
アンカースクリューの埋入は外科治療になります。治療中は、麻酔を行うため痛みは感じにくく、短時間で行えるため体への負担は比較的少ないといえます。しかし、治療後、麻酔がきれた後は、痛みや腫れを感じやすくなります。術後2日間は続きやすく、その後は徐々に落ち着いてきます。痛みを感じる間は痛め止めなどを使用していただきます。感染症のリスクなどもあるので、抗生剤を処方したり、必要と判断される場合は、翌日に傷口の確認を行うなどして術後の経過観察を注意深く行うようにします。

②安定しないことがある
アンカースクリューは、多くの患者さんに適応可能です。治療の成功率は8〜9割くらいです。しかし、埋入する顎骨の状態や全身の健康状態により適応が難しい場合があり、まれにグラついて安定しないことがあります。事前に、CTやレントゲン撮影を行って骨や歯の状態を確認したり、服用している薬や全身疾患の有無などを問診することにより判断しますが、それでもこのようなリスクはゼロにはなりません。術後、うまくアンカースクリューが安定しない場合は、埋入位置を変えて再埋入したり、別の方法(顎間ゴムなど)で矯正治療をすすめることを検討することもあります。

③追加費用がかかる
歯科医院によって異なることもありますが、アンカースクリューはオプション治療となることがありtます。そのため、矯正治療に追加して費用がかかることがあります。費用目安は1本1万〜5万円くらいになります。埋入する部位によっても費用が違ってくるので、気になる方は歯科医院に直接問い合わせてみましょう。

④後戻り
アンカースクリューは強い固定源になるため、前歯部分をまとめて同時に移動させることも可能です。しかし、同時にまとめて歯を移動させると矯正治療完了後に後戻りしやすくなります。歯の後戻りを防ぐため、保定装置(リテーナー)を指定の時間を守って装着すれば後戻りを防ぐことができます。矯正治療後もリテーナーを正しく使用し続けることが大切です。

アンカースクリューの「役割」と「得意とする歯の動き」

患者さんの中には、歯を見せて笑った時に歯茎が多く見える「ガミースマイル」や唇を閉じて口元が前に盛り上がる「口ゴボ」に悩まれている方もいらっしゃいます。

このような症状の改善には、「セットバック(上顎前方歯槽骨部骨切手術)」という外科手術が行われていました。
しかし、アンカースクリューが使用されるようになり、比較的、体に負担の少ない外科治療で、ガミースマイルや口ゴボなどの難易度の高い症例も矯正治療が可能となりました。(症状が重度の場合は外科治療が適応される場合もあります)

矯正治療におけるアンカースクリューの応用方法について具体的にご説明します。

◆目立ちにくい固定源
口ゴボなどの場合、奥歯を動かさずに前歯の歯並びを整えることが必要になることがあります。その場合に使用されていたのは、ヘッドギアという装置で、歯を動かすための固定源に頭を利用します。頭につけたベルトに装置を繋げて歯を動かすので、装置自体がかなり目立ち、外出時は装置の装着も難しいため使用できる時間が限られてしまいます。しかし、アンカースクリューであれば、ネジのような小さい装置を口の中に装着して固定源とするので、矯正中も目立ちにくく、時間帯を気にせずに矯正治療を進めることができます。(子供の骨の状態ではアンカースクリューが安定しにくいためヘッドギアを使用します。)

◆歯列の後方移動
前歯の突出感を感じる場合は、アンカースクリューを固定源にして後方に引っ張ることで改善することができます。アンカースクリューは強い固定源となるため、歯並びを整えながら、歯を比較的大きく動かすことができるため、効率的に治療を進めることができます。

◆前歯を持ち上げる
矯正治療のみでは難しい症例でも、アンカースクリューを使用したインプラント矯正を行うことで難しい歯の動きに対応できます。中でも、ガミースマイルの治療で行われる、前歯を歯茎方向に持ち上げる「圧下」は歯の動きとしては難易度が高い治療法になります。しかし、アンカースクリューで効率的にかつ三次元的に歯を移動させることが可能になるので、そのような歯の動きも可能になります。

アンカースクリュー埋入時の痛みについて

アンカースクリューは骨へ埋入するため、外科治療が必要になります。外科治療と聞くと「痛み」を感じることに対して心配になられる方もいらっしゃいます。ここでは、アンカースクリュー埋入の「治療前」「治療中」「治療後」「治療後の経過」「除去時の痛み」の5項目に分けて「痛み」について解説します。

◆治療前の麻酔
アンカースクリューを設置する際、歯茎の下にある骨に埋め込むことになるので、外科治療が必要になります。外科治療と聞くと痛みを心配されるかもしれません。
麻酔をしっかりきかせてから治療を行うため、ほとんど痛みを感じることはありません。麻酔の注射針を入れる際にも、塗るタイプの表面麻酔を使用して、痛みを感じにくくすることもできます。

◆治療中の痛み
麻酔はほとんどの場合、治療部位のみに行う局所麻酔で行うため、意識がある状態でアンカースクリューの埋入を行います。そのため、治療の音や感触などの違和感を感じることはありますが、痛みを感じることはほとんどありません。治療時間も短時間で行うことができ、目安としては15〜30分程度の治療となります。

◆治療後の痛み
治療後は、麻酔が効いている間は痛みを感じにくいですが、麻酔が切れてくると少しずつ痛みを感じるようになります。そのため、基本的には麻酔が切れる前に痛み止めを服用していただき、術後の感染予防のために抗生剤も処方させていただきます。
痛みは術後1〜2日間くらいがピークで、その後、徐々に落ち着いてくることがほとんどです。もし、痛みが改善してこないようであれば歯科医院を受診し必要な処置を受けるようにしましょう。

◆治療後の経過
アンカースクリューを埋入してから安定するまで約1ヶ月程の期間が必要になります。1ヶ月後に埋入部位を確認してアンカースクリューが安定していれば、矯正装着と連結して矯正治療を進めることができます。
アンカースクリューは、スクリューと歯茎の境目に汚れが溜まりやすく、歯茎に炎症が起こり、痛みを伴うこともあります。柔らかめの歯ブラシで優しく磨きながらケアを行うようにします。

◆除去時の痛み
矯正終了後はアンカースクリューを外します。この場合も、外科治療になるため麻酔を行います。そのため、痛みを感じることはほとんどありません。麻酔の効果がきれた後は、1〜2日痛みが伴うことがあるので痛み止めと抗生剤を処方することがあります。軽い出血がみられますが、その日のうちにおさまる程度のものです。
アンカースクリュー除去後、傷口や歯茎にあいた窪みは、1ヶ月くらいたつと歯茎に覆われ、窪みは数カ月単位で改善していきます。

インビザラインでの矯正治療について

インビザラインは、マウスピース矯正の1つです。矯正装置に透明な樹脂素材のマウスピースを使用するので、取り外しも可能で目立ちにくいのが特徴です。矯正装置をほとんど気にせず過ごすことができ、食事や歯磨きも通常通り行えるのは大きなメリットと言えます。

マウスピース矯正でもアンカースクリューを併用することは可能です。骨格的に大きな問題がなければ、「ガミースマイル」や「口ゴボ」などの症例も、アンカースクリューを使用せずインビザラインのみで治療することも可能です。(矯正再治療の場合は、アンカースクリューが必要になる場合があります)

外科的な処置が必要となるアンカースクリューにお悩みの方、他の方法を検討されたい方は、一度当院へご相談ください。患者さんのお口の状態に合った治療方法を、動画によるシミュレーションを使用しながらご提案させていただきます。無料カウンセリングも実施しておりますのでお気軽にご利用ください。

矯正無料相談を予約する

無料メール相談はこちら