悪い歯並びは口角を下げる?口角を上げる改善方法と歯並びの関係
監修:歯科医師 高島光洋
最近、鏡を見て自分の口元に何か気づくことはありませんか?
おそらく、口角が下がって見えていると感じる方もいるのかもしれません。これは歯並びが影響を及ぼしている可能性があります。
ここでは、口角が下がってしまう原因とそれを上げる方法について詳しく説明します。
1.口角を下げている原因とは?
1-1 ①加齢に伴う表情筋の衰え
1-2 ②普段の癖や生活習慣
2.悪い歯並びと口角の関係
2-1 こんな歯並びは口角を下げる
3.口角を上げるには?
3-1 ①歯列矯正
3-2 ②自分でできるトレーニング
3-3 ③歯並びが悪くなる癖や習慣をやめる
4.口角を下げる悪い歯並びにはインビザラインがおすすめ
口角を下げている原因とは?
口元は年齢を感じさせる部分です。毎日鏡を見ながら「これは仕方がない」と諦めてしまっていませんか?
実は、口角が下がってしまうには特定の原因があるようです。その原因について解説していきましょう。
①加齢に伴う表情筋の衰え
口角が下がる原因の一つとして、加齢による筋肉の衰えがあります。年を重ねるとともに、筋肉に力は自然と衰えてしまいます。顔には表情を作り出す「表情筋」や、食事をする際に活動する「咀嚼筋」が存在します。しかし、これらの筋肉を日常的に使わないと、その力が徐々に失われてしまいます。その結果、若い頃には元気に上がっていた口角が、徐々に下がってしまうのです。
②普段の癖や生活習慣
筋肉の衰えだけでなく、普段生活している中でも口角が下がる原因が潜んでいます。
〇食事
あなたの食事はどのようなものでしょうか?
昔の食事と現代の食事を比べてみると、その違いは明確です。昔は歯応えがあり、食事を進めるためにはしっかりと咀嚼する必要がありました。
しかし、現在はどうでしょうか。おそらく、多くの食べ物は柔らかくて歯応えが少ないものが増え、不十分な咀嚼でも飲み込めるようになっているのではないでしょうか。
筋肉は使わなければ衰えてしまいます。それが、口角が下がる一因となってしまうのです。
〇呼吸
あなたは普段どこから呼吸をしていますか?
口か、それとも鼻か。これが口角の位置に影響を及ぼすのです。もちろん、風邪を引いて鼻が詰まっている時などは仕方なく口呼吸になることもあります。しかし、基本的には、呼吸は鼻を通して行うべきです。
一時的な呼吸ならば問題ありませんが、長期にわたって口で呼吸をする癖がついてしまうと、口を閉じるための筋肉が衰えてしまいます。これが口角が下がる一因となってしまうのです。したがって、常に口をしっかり閉じ、鼻で呼吸する習慣を身につけることが大切です。
〇姿勢
実は、姿勢も口角が下がる一大原因となっています。近年、スマートフォンを利用する時間が増えてきていると思いますが、これが姿勢を悪くし、顔をうつむきがちにする可能性があります。うつむくと、首に余計な力がかかり、それが周囲の筋肉が縮めせ、口角とつながっている筋肉が引っ張ってしまいます。これが口角が上がりにくくなる原因となってしまいます。
また、スマートフォンを操作する際にも同じことが言えます。顔を下に向けて、無表情で画面を見続けることが筋肉を垂れ下がらせ、口角が下がる原因となってしまいます。
〇食いしばり
筋肉が過度に緊張することも、実は口角が下がる一因となります。
日常生活で無意識に歯を食いしばっていることはありませんか?
睡眠中の歯ぎしりや、集中している時の食いしばりなどがこれに該当します。筋肉を使話ないとその力は衰え、口角が下がると説明しましたが、逆に常に筋肉に力が入り続けることで、筋肉が硬直し、それが口角を下げる原因となるのです。
悪い歯並びと口角の関係
歯並びの悪さも口角を下がる原因となります。歯並びが悪い理由は、遺伝や日常の生活習慣、特定の癖など多岐にわたります。
例えば、出っ歯の場合、唇を無理に閉じなければいけないため、口周りの筋肉に過度の力が入り、筋肉が緊張することで口角が下がってしまいます。
また、歯並びが悪さが自信を失わせ、自然な笑顔を作れなくなることで、表情筋の発達が妨げられ、これもまた口角を下げる原因となります。
こんな歯並びは口角を下げる
●口ボゴ
歯並びがでこぼこしていて、口を閉じるのが難しい状態です。これにより、無理に口を閉めようと、口周りの筋肉に過度な力がかかることで口角が下がりやすくなります。
●出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前に突出している状態です。このため、口を閉じようとすると筋肉に力がかかり、口角が下がる原因となります。
●受け口(下顎前突)
下の歯が上の歯よりも前に突出している状態です。これにより、口を閉じる際に筋肉に力が過度に加わり、口角を下がってしまう原因となります。
口角を上げるには?
口角を上げるためには、筋肉のトレーニング、歯並びの矯正、生活習慣の見直し、そして個人の癖の改善などが必要です。以下、これらの方法について詳しく解説していきます。
①歯列矯正
歯並びの改善を行うための矯正治療は、口角を上げるための効果的な方法です。歯並びが整えば、唇を自然に閉じることが可能になり、口周りの筋肉に常に力を入れる必要がなくなります。これにより、筋肉が凝り固まるという問題を避けることができます。
さらに、歯並びがきれいになることで自信を持って笑顔を見せることができ、表情にも自然な動きが出てきます。これらも、口角が下がる原因をなくすことに繋がります。
矯正治療の方法にはいくつかあり、ワイヤーを用いた矯正や、マイスピースを使ったインビザラインなどの選択肢が存在します。
②自分でできるトレーニング
〇口をしっかり動かす
積極的に表情を作ることも、口角を上げるための有効な方法です。笑う、話すなどして表情筋を頻繁に使うことで、口角を上げる効果が期待できます。日常の会話でも、大袈裟に口を動かすことを意識してみましょう。
長時時間無表情の状態が続くと、表情筋が衰えてしまいがちです。一方でしっかり口を動かして話すことにより、発音や滑舌の改善にも繋がります。
〇割り箸を使ったトレーニング
ここでは、表情筋をきたえて口角を上げるトレーニングを紹介します。自宅で簡単に行えるので、鏡を見ながら試してみてください。
- 割り箸を横にくわえます。
- 割り箸をくわえたまま、「いー」と発音しながら口角を上げる。この状態を30秒キープします。
- 力を抜いて10秒休みます。
- 上記の手順を3回繰り返します。※口角が割り箸より上になるように意識しましょう。
〇下を回すトレーニング
こちらのトレーニングは、口の周りの筋肉が硬く血液の流れが悪くなることで口角が上がりにくくなる問題を解消するものです。具体的な手順は以下の通りです。
- 上の前歯と唇の間に舌を置きます。
- 口を閉じたまま、歯茎をなぞるように舌を一周します。
- これを右回り、左回りとそれぞれ20回ずつ行います。
③歯並びが悪くなる癖や習慣をやめる
口周りの筋肉の衰えや筋肉が凝り固まってしまうことも、口角が下がる原因のひとつです。
対策として、生活習慣や日常の癖の改善が挙げられます。
例えば、以下のようなことに気を付けると良いでしょう。
- 無意識に食い癖を止める
- スマートフォンを使う際の姿勢を見直す
- 柔らかい食事ばかりではなく、歯応えのある食事を心がける
表情筋の活動が少なくなると、筋肉が凝り固まりやすくなるため、日常生活の中で積極的に表情筋を使うようにしましょう。
また、背中が丸まるような姿勢は避け、首に負担をかけないようにすることが重要です。スマートフォンを見るときは、目線が高くなるように保つことをお勧めします。
口角を下げる悪い歯並びにはインビザラインがおすすめ
口角が下がってしまう原因が歯並びである場合、インビザラインのような矯正治療で改善することが可能です。
これにより口は自然と閉じ、口周りの筋肉に過度な力がかかることなく、筋肉が凝り固まるのを防ぎます。
実は、口角がわずか1ミリ変わるだけでも顔の印象は大きく変わります。若々しく見えるだけでなく、表情に自信が出て様々なことに前向きに取り組むことができるようになるでしょう。
原因となっている歯並びを改善し、自信のある笑顔を取り戻しませんか?