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35歳から増える大人の虫歯!その理由と対策について

監修:歯科医師 高島光洋


棒グラフを示す木の人形

痛くないから大丈夫、と油断していませんか?


日本の歯科業界においても、予防に力を入れて取り組んでいる歯科医院は多くなっています。特に、子供の頃からのフッ素の活用や定期健診の受診により、その効果は高まっています。そのため、子供における虫歯のある子の割合は30年前と比べて、劇的に減少していることが、厚生労働省の歯科疾患実態調査により示されています。しかし、35歳以降からは、30年前と比べると減少傾向にありますが劇的に変化はしておらず、虫歯がある方の割合が90%以上であることがわかっています。
今回は、「虫歯になる原因」「虫歯になりやすい人の特徴」「大人から始める虫歯対策」など大人の虫歯について詳しくお伝えします。

虫歯になるメカニズムについて

虫歯は専門用語で齲蝕(うしょく)と呼びます。
虫歯の原因になるのは、プラークに存在する細菌(ミュータンス菌)です。この細菌が食べ物や飲み物に含まれる糖質を分解することによって、口の中で酸を発生させます。そうすると、通常は中性の状態である口の中の環境が酸性に傾くことで、歯が酸により溶かされてしまい虫歯ができてしまうのです。このことを脱灰と言います。進行すると歯に穴があいた状態になります。

しかし、必ずしも脱灰が一方的に進むわけではありません。初期の虫歯であれば、唾液などに含まれる、歯に必要な成分となるカルシウムやリンが歯に吸収されることで、脱灰した歯が元の状態に戻ることもあります。このことを再石灰化と言います。

脱灰と再石灰化は繰り返し行われていますが、唾液の量、間食の回数、歯磨きのやり方などの様々な要因により、脱灰が進みやすい場合と、再石灰化が進みやすい場合で虫歯のなりやすさが変わってきます。生活習慣などを見直すことで、これらの要因を改善しながら、再石灰化を促し虫歯になりにくくすることも可能です。

虫歯のある人の割合は35歳から高くなる


う蝕を持つ者の割合の年次推移グラフ

虫歯のある子供は、減少傾向にあります。この理由は、フッ素の積極的な活用や定期健診の効果だと考えられます。しかしながら、35歳を過ぎると虫歯がある人の割合が30年前とあまり変化なく、90%以上の人が虫歯があることがわかります。この理由は、20歳以降から一人暮らしなどで生活習慣が変わりやすくなることと、自ら歯科医院に行かなければ歯科検診を受けられず自己管理になってしまうからだと考えられます。また、60歳以降は、昔より残っている歯が多くなり、その分、虫歯も増えていることも考えられます。
虫歯は歯を失う大きな原因となりやすいため、大人になってからも予防に取り組み続けることが重要になります。

大人になってからできる虫歯の原因とは?

大人の虫歯の主な原因は、「以前虫歯治療をした所に虫歯が再発する」ケースと「歯の根元部分に虫歯ができやすくなる」ケースです。

①以前虫歯治療をした所に虫歯が再発する
虫歯ができて治療を行い詰め物を詰めた経験はありませんか?
詰め物は、長く使用していると、咬む力や温度変化により経年劣化が生じます。そうすると歯と詰め物の間に段差や隙間ができます。特に銀歯だとわずかではありますが膨張や収縮が起こりやすく、歯との適合が悪くなりやすいです。隙間や段差が生じると、汚れが溜まりやすく虫歯も再発しやすいです。詰め物の隙間に虫歯ができると気付くことが難しく、また、以前の治療時に歯を削った分、神経に近くなっており、神経まで虫歯が進行している可能性もあります。
以前、虫歯で治療した歯がある方は、詰め物の状態(隙間ができていないか、欠けていないかなど)も含めて、定期的にお口の中の状態を診てもらうことをおすすめします。


②歯の根元部分に虫歯ができやすくなる
歯磨きの力が強い、食いしばりや歯ぎしりがある方は、歯茎が下がりやすい可能性があります。また、加齢によっても歯茎は下がりやすくなります。
歯茎が下がると、歯の根っこの部分が見えてきます。歯の頭の部分はエナメル質という硬い組織に覆われていますが、歯の根っこの部分はエナメル質がないので、歯の頭の部分より虫歯になりやすいです。また、歯の根っこの部分は虫歯の進行も早いため、定期健診はもちろん、丁寧な歯磨きとフッ素の活用で日頃からの虫歯予防をおすすめします。

虫歯になりやすい習慣となりにくい習慣とは

虫歯になりやすい習慣

・歯磨きが十分できていない
歯磨きの回数は、朝食、昼食、夕食後の3回行う事が基本となります。1日1回だけの歯磨きだと、虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を除去するのは難しいです。虫歯になりやすい主な場所は、「歯と歯の間」「奥歯の溝」「歯と歯茎の間」「一番奥の歯の裏側」です。歯の表面は磨けていても、これらの部分まで歯ブラシがあたっていないと虫歯になりやすいです。虫歯になりやすい4箇所を磨くことができるようになると、虫歯のリスクは下がりやすいです。

・間食が多い
食事をすると、その食べ物に含まれている糖分を虫歯菌(ミュータンス菌)が分解して酸を作り出します。酸は歯を溶かすため、これが繰り返されると虫歯ができます。しかし、時間が経つと唾液が口の中の酸を中和し(唾液の緩衝作用)、歯に必要な成分を補うことで(唾液の再石灰化作用)、虫歯になりにくくする働きもあります。
ただ、間食の頻度が多くなると、唾液の緩衝作用が働きにくくなり、長い時間、口の中が酸性の状態になりやすく、歯が溶けやすい状態が続くようになるため、虫歯のリスクは高まります。

・口呼吸の習慣がある
呼吸は鼻呼吸が正常な状態です。鼻呼吸だと、口を閉じた状態でも呼吸ができ、口の中は唾液で潤っている状態になります。
それに比べて口呼吸は、ずっと口が開いている状態が続くため、口の中が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、唾液の循環により口の中の汚れを洗い流す働き(唾液の自浄作用)が弱まります。そうすると、プラークなどが歯に停滞しやすくなり、虫歯のリスクを高めます。口が乾燥しやすかったり、ネバつきを感じる方は、こまめな水分摂取とうがいをおすすめします。

・歯並びが悪い
時間をかけて丁寧に歯磨きしていても虫歯ができる方もいらっしゃいます。その大きな原因は歯並びが考えられます。歯並びが悪いと、歯が傾いていたり、歯と歯が重なっていたりと、歯ブラシが当たりにくい部位が多くなるため、歯磨きの難易度が高くなります。また、歯並びが悪いことで咬み合わせも悪い状態だと、噛む力の負担が偏ってしまい、歯が欠ける原因にもなります。歯が欠けると、その部分にプラークが付着しやすくなり、虫歯のリスクに繋がりやすいです。もし、歯が欠けたり、舌触りがザラザラするようであれば、歯科医院で診てもらいましょう

虫歯になりにくい習慣とは

・正しい歯磨きができる
歯ブラシ以外にも、フロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどを一緒に使用し、細かい部分まで歯を磨けている方は、虫歯になりにくいです。

・唾液が作用しやすい
唾液の量や質は個人差があります。唾液の量が多いと、口の中の汚れが洗い流されやすくなります。また、唾液には抗菌成分も含まれており虫歯菌の働きを弱める抗菌作用もあります。他にも、唾液には歯に必要なミネラル成分も含まれているため、溶かされた歯にミネラル成分(リン、カルシウムなど)を補う再石灰化作用があります。唾液の作用が働きやすいと、虫歯になりにくくなります。

・糖分摂取量が少ない
虫歯菌は糖分を餌とします。そのため、間食で甘いお菓子を食べたり、ジュースを飲む習慣が少なく、糖分の摂取量が少ない方は、虫歯になりにくいです。

・フッ素を活用している
フッ素の虫歯予防効果は論文でも証明されています。フッ素は、必要なミネラル成分の歯への吸収を促進する働き、歯の質を強める働き、細菌の活動を弱める働きがあります。フッ素の活用方法としては、お家のケアにフッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使用し、定期的に歯科医院でフッ素塗布を行うのが効果的です。

大人から始める虫歯対策

清掃補助用具を使用する
歯ブラシのみのケアだとお口の中の汚れの6割くらいしか磨き取れません。しかし、歯ブラシと一緒に清掃補助用具(糸ようじ、フロス、歯間ブラシ、タフトブラシ)を使用すると、お口の中の汚れを磨き取れる割合が8割~9割くらいになります。特にブリッジなどは歯ブラシだけでは磨きにくいためおすすめです。
ただし、正しい取り扱い方法を知った上で使用しないと歯や歯茎を傷つける原因になることもあります。一度、歯科医院での虫歯のチェックやクリーニングの時などに、ご自身に合った清掃補助用具について相談してみると良いです。

被せ物と歯との境目を磨く
被せ物を装着している歯は、神経がない歯の場合もあります。神経のない歯の場合、しみる症状や痛みを感じることができません。そのため、被せ物と、その被せ物を装着している歯の間に虫歯ができてしまうと、知らないうちに進行してしまう可能性があります。これを予防するために、被せ物の根元の部分に歯ブラシをあてて磨くようにしましょう。この部分は特に、毛先が柔らかく、歯茎を傷つけにくいシステマタフトブラシがおすすめです。また、専門家により定期的に虫歯ができてないかどうか診てもらうことも大切です。

歯磨きの強さに注意
加齢と共に歯茎は下がりやすくなります。また、歯磨きの力が強く、歯ブラシが歯茎にまで当たってしまうと、歯茎が下がる原因にもなります。歯茎が下がると、歯の根っこが見えてきます。歯の根っこは歯の頭の部分と比較すると柔らかい組織なので、虫歯になりやすく、進行もしやすいです。一度、下がってしまった歯茎は戻すのが難しくなります。歯磨きの際の力の強さにも注意しましょう。
歯磨きの力が強い方は、軟らかめの歯ブラシに交換するのも1つの方法です。正しい力加減で歯磨きができているかどうか気になる方は、歯科医院に相談してみるとよいでしょう。

フッ素の活用
フッ素が虫歯の予防に効果的なのは、医学的にも証明されています。セルフケアでの活用方法は、フッ素入りの歯磨き粉の使用と、フッ素洗口になります。フッ素入りの歯磨き粉は高濃度フッ素(1450ppm)と標記してある物がおすすめです。
フッ素洗口は、歯磨きした後にフッ素入りの洗口剤を使用しうがいをする方法です。歯科医院でも、ご希望の方は、定期的に歯科医院専用の高濃度フッ素でフッ素塗布を行うこともできます。

虫歯のリスクは不正咬合も原因の1つ

不正咬合は歯並びや咬み合わせが悪い状態のことをいいます。歯並びの悪い方は、虫歯のリスクが高まります。歯並びが悪いと、歯が重なっていたり、歯が傾いていることで、プラーク(歯垢)が蓄積しやすいです。また、歯ブラシもあたりにくくなるため、歯に付着したプラーク(歯垢)が磨ききれない部分もできやすいです。細菌は歯の表面に残ったプラークを住処とし、増殖します。
歯磨きを毎日している方でも、歯と歯の間や、奥歯が咬み合う溝部分、歯と歯茎の間など細かい部分まで磨けていないと虫歯になりやすくなります。特に歯並びの悪い方は、ご自身に合った正しい歯磨きのやり方を身につけ、できるだけ磨き残しのないようにすることが大切です。
虫歯は進行してから症状が出てくることが多く、初期段階では発見が難しいです。虫歯になった場合に早めに発見できるように、定期的に歯科医院で診てもらいましょう。

矯正治療でも虫歯予防効果を高めることができます!

虫歯になる原因は1つではなく、食生活、歯質の強さ、唾液の作用、口の中の細菌など、様々な要因が関係しています。その1つに歯並びもあります。上述したように、歯並びが悪いと、歯磨きしづらくなるため、虫歯のリスクは高まりやすいです。
虫歯のリスクを減らす方法の1つに、矯正治療を行って歯並びや咬み合わせを整える方法があります。矯正治療は、見た目を良くするイメージがあると思いますが、見た目はもちろんのこと、虫歯や歯周病の予防、咀嚼効率を高め消化器官への負担を減らす、発音の改善など、体の機能に対しても良い影響があります。

矯正治療は子供の時期に行うイメージがあると思いますが、大人になってから、矯正治療を始めることも可能です。矯正治療は、歯と歯茎の状態が矯正治療の条件に合えば年齢制限なく受けることができます。
大人になってから矯正治療を始めようとすると、特に人前に出るお仕事をされている方は、矯正装置の見た目が気になる方もいるかもしれません。確かに、従来の矯正装置は金属の装置を歯に接着するため、矯正装置が目立っていました。

しかし、現在では透明なマウスピースを矯正装置として使用するインビザラインという方法があります。インビザラインは、マウスピース矯正の先駆けとなるアメリカのアラインテクノロジー社が開発し、過去にインビザラインで矯正治療を行った患者の治療データを元に治療計画を立てます。また、装置であるマウスピースを着脱でき、通常通り、食事や歯磨きを行うこともできます。

矯正治療はキレイな歯並びを手に入れられるとともに、体の健康維持にも繋がります。

当院は、矯正相談も受付けております。歯並びが気になる、虫歯ができやすいと悩まれる方は、ぜひ当院にご相談ください。

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