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うつぶせ寝がかみ合わせに影響する!?その理由と対策について

監修:歯科医師 高島光洋


うつ伏せで寝ている赤ちゃん

お子さんの寝ている時の姿勢を気にしたことがありますか?今まで、気にしてなかった方は、一度お子さんの寝ている姿勢を確認してみましょう。うつぶせ寝や横向き寝になってはいないでしょうか?成長期のお子さんは骨格ができあがってくる途中の段階であり、寝る姿勢が骨格に影響することもあります。特に顎の骨格に影響すると、かみ合わせや歯並びが悪くなったり、将来的に顎関節症のリスクを高めることもあります。
今回は、「うつぶせ寝がかみ合わせに影響する理由やリスク」、「正しく寝られる方法」などについて詳しくお伝えします。

うつぶせ寝がかみ合わせに影響する理由

歯並びや、その土台となっている骨格は、長時間小さな力が毎日持続的にかかると、少しずつ変形していきます。
1つの例として、舌の動きが挙げられます。舌は本来、上前歯の裏側にある小さな膨らみに舌の先端が接触していて、舌全体が上顎にペタッと吸着している状態が正常な位置です。しかし、舌の動きに癖があり、舌で前歯を押したりしていると、前歯が前方に突出し、出っ歯になったり、上下前歯が噛み合わず隙間ができる(開咬)状態になってしまうことがあります。
他にも、舌の位置が下がったままの状態だと、受け口になりやすい場合もあります。
このように、口周りの癖や体の姿勢は、歯並びや咬み合わせに影響します。

特にうつぶせ寝は、就寝時の長い時間、同じ体勢になっていることが多く、骨格や歯並びに体重や頭の重みがかかり続けることになります。頭の重みは体重の約10%くらいであり、体重10kgであれば頭の重さは約1kg、体重50kgであれば頭の重さは約5kgとなります。その重みが少しずつ骨格や歯並びにかかると、バランスが崩れることになり、骨格や顔の歪み、歯並びの悪さなどを引き起こす原因となります。頬杖をつく癖も、同じような理由で、骨格や歯並びに影響するので要注意です。

このようなお口周りの癖や姿勢は、短時間なら大きな影響はないと考えられますが、長時間・長期間続いてしまうようであれば、少しずつ改善できるように心がけましょう。お子さんについては、歯の生え換わりや、骨格が成長する時期にもなるので、特に影響が出やすいです。親御さんの働きかけが大切になります。もし気になる方は、小児専門の歯科医院や矯正歯科などで相談してみましょう。

うつぶせ寝は歯並びや骨格に悪い?その影響とは

うつぶせ寝は寝ている間の長時間、同じ体勢になりやすいです。そうすると、頭の重みや体重が顎の骨格や歯並びに持続的にかかってしまいます。その力により、骨格の歪みや歯並びの悪さを引き起こす原因にもなります。この項目では、うつぶせ寝が顎の骨格や歯並びに、どのような影響を与えるのか具体的にお伝えします。

歯並びが悪化するリスク

特に注意していただきたいのが、子供の時期のうつぶせ寝です。子供の時期は、歯の生え換わりや、骨格が発達段階にあるため影響を受けやすくなります。

うつぶせ寝の体勢で枕を使って寝ていると、下の顎が後方に押され下がってしまい出っ歯の原因になることもあります。また、前歯が押されることで内側に傾斜した状態になったり、歯自体が移動しやすい状態にもなります。他にも、うつぶせ寝の状態で顔を横に向けて寝ている場合は、歯列の歪みだけでなく顔の歪みにも繋がることもあります。

うつぶせ寝は呼吸にも関係します。うつぶせ寝の体勢は口呼吸がしやすくなります。普段から口呼吸が習慣になっている子は、仰向け寝では呼吸がしづらくなるため、自然とうつぶせの状態で寝るようにもなります。

顎関節症へのリスク

就寝時の体勢は、顎の関節に大きく影響します。なぜかというと、顎の関節は体の関節の中で唯一、前後、上下、左右に動かすことができ、可動域が広い特徴を持っているからです。頭や顔の部分の骨は、骨と骨が「縫合」と呼ばれる部分により繋がっているのですが、下顎の骨だけは繋がり方が異なっており、頭部の骨と筋肉で繋がっていることで、このような「可動域が広い」という特徴を持ちます。可動域が広い分、体勢や口周りの癖などで顎関節のズレが生じやすくなることもあります。

うつぶせ寝の体勢は、下顎が後方に押されやすいです。また、うつぶせ寝の状態で顔が横向きになっていると、下顎が左右にずれてしまうこともあります。この様な状態が、寝ている間長時間続くと顎関節が本来の位置からズレてしまうことで、過度の力が顎関節に加わりやすくなります。

この影響により、「咬み合わせの悪化」、「食べ物の食べにくさ」、「口を開け閉めする時の痛み」、「口を開け閉めする時のコキコキ鳴る音」、「大きく口を開けられない」などを感じるようになります。これは、「顎関節症」で見られる症状です。小さな力でも持続的にかかることにより、骨格のズレを引き起こす原因となります。うつぶせ寝の他にも、頬杖をつくことも咬み合わせや骨格のズレの原因になることがあるので気をつけましょう。

理想の寝方は「仰向け」!「仰向け」で寝る方法とは

歯並びやかみ合わせに与える影響を最小限にするためには、正しい姿勢で寝ることが大切です。就寝時の正しい姿勢とは、「仰向け」です。正しい姿勢で眠ることができれば、しっかりとした睡眠がとれ、体全体のバランスを保ちやすくなります。寝る姿勢が癖になってしまっているお子さんは仰向けで寝ることが難しい場合もあります。寝る時に使用する枕や布団を見直してみたり、お子さんが喜びそうな工夫で、少しずつ改善できると良いでしょう。この項目では、寝る体勢を「仰向け」に改善するための具体的な方法をご紹介します。ぜひ、ご参考にしてください。

◆敷き布団の硬さ
マットレスを使用している方もいらっしゃると思います。寝るときの敷き物は仰向けになった時に、背中全体がフィットしており、硬すぎず、柔らかすぎないものを選びましょう。また、弾力があることで、寝返りも負担なく行いやすく、質の良い睡眠がとりやすくなります。(寝返りは体が圧迫される部分が同じ部分に偏らないように自然に行われます。)

◆枕の厚みを体に合わせる
枕を使って寝ると、仰向けの状態で寝やすくなります。枕を使い始める年齢は8~9歳頃、身長は130cmくらいを目安に低めの枕から使ってみましょう。枕の厚みを体に合わせて変えながら使用できるものもあるので、体が成長期にあるお子さんにお勧めです。

◆ホームプラネタリウム
ホームプラネタリウムは、家庭用プラネタリウムとも呼ばれ、自宅で簡単にプラネタリウムを楽しむことができる投影機です。夜、お子さんが寝る前に部屋の明かりを消して、天井や壁に星空を映して見ていると、そのまま仰向けの状態で寝てくれることがあるのでおすすめです。ストーリーやメロディーが一緒に流れるものもあるのでお子さんの好みにも合わせやすいです。

◆読み聞かせ
夜寝る前に、仰向けになって絵本の読み聞かせを行ってみましょう。絵本が見える範囲で、少し照明を暗くしてみると眠りにつきやすくなり、そのままの体勢で、寝てくれることがあります。絵本を読む方も、優しい声でゆっくりと読んであげれると尚良いです。

◆正しい姿勢に変えてみる
横向きやうつぶせの状態で寝ている場合には、眠りが深くなっている頃に、お子さんの姿勢を仰向けの状態に変えてみましょう。周りからの音や刺激に敏感で、すぐに起きてしまうお子さんにはおすすめできませんが、慎重にゆっくり行うことで正しい姿勢でそのまま寝てくれることもあります。

かみ合わせ・歯並びのお悩みは当院へご相談ください!

姿勢や口周りの癖は、成長期にあるお子さんの歯並びや顎の骨格に悪影響を与えることがあります。その中でも特に、就寝時の姿勢は長時間続くので影響が出やすいです。それは、歯や骨格は、小さな力でも長時間・長期間持続的にかかると、そのバランスが崩れたり、歪みなどを生じることがあるからです。

うつぶせ寝や横向き寝を改善しようとしても難しい場合は、お子さんの歯並びやかみ合わせを観察してみましょう。「歯並びの悪さ」、「顔の歪み」、「かみ合わせのズレ(受け口や出っ歯、開咬など)」、「顎関節の違和感」など気づいたことがあれば、小児歯科や矯正歯科へ相談してみましょう。もし矯正治療が必要になった場合、早めに始められると治療の選択肢が増える場合もあります。

当院では、無料カウンセリングも実施しています。お子さんはもちろん、大人の方でも歯並びやかみ合わせについて気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。

歯列矯正治療で歯並びやかみ合わせを改善できたとしても、悪い姿勢や癖が治っていないと、後戻りする可能性もあります。子供の時期の矯正治療では、マウスピース型の矯正装置を使用しながらトレーニングを行い、姿勢や口周りの癖を改善する治療法などもあります。痛みが少ないのでお子さんの負担になりにくいのでおすすめです。

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