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子供の受け口治療は何歳から?おすすめの治療法とその効果とは

監修:歯科医師 高島光洋


小児矯正の装置

お子さんの健診で、受け口(反対咬合)を指摘されたことはないでしょうか?親御さんの中には矯正治療を考える方もいらっしゃるかと思います。
しかし、矯正治療でイメージするのは金属の装置や、痛みのある治療などかもしれません。
実際には、小さいお子さんから始められる治療や、取り外し可能で就寝時だけ装着する装置もあります。
今回は、子供の時期から行える受け口の矯正治療方法についてご紹介いたします。

受け口(反対咬合)は2タイプあります!

正常な歯並びは、上の前歯が2~3mm程、下の歯に被さっている状態です。しかし、上の歯より下の歯が前に出ている状態のことを、受け口と言います。受け口の場合、口呼吸になりやすかったり、滑舌や発音にも影響することがあります。

受け口(反対咬合)には2タイプあります。

①骨格的な問題があるタイプ
上下の顎は身長と共に成長しますが、顎の成長は上下で異なる場合があります。そうして、上顎の成長が不十分であったり、逆に、下顎が過剰に成長してしまったりすることによって受け口になるタイプです。

②歯の生え方に問題があるタイプ
歯の生える向きや位置によって受け口になることがあります。上の前歯が内側に向いて生えていたり、下の前歯が外側に向いて生えていたりすることが原因で受け口になるタイプです。

骨格に問題があるタイプは、歯の生え方に問題があるタイプより治療の難易度が高いです。治療方法も2タイプそれぞれ異なります。
骨格に問題があるタイプの方が大人になってから治療する場合、骨格を正しい位置に移動させるために外科的な手術が必要になることもあります。

なぜ、受け口になるの?

受け口には先天的な原因と後天的な原因があります。「先天的な原因」とは生まれつき備わっている性質で、「後天的な原因」とは生まれたあと何かしらの影響で備わった性質のことを言います。

○後天的な原因
日常的に口周りの癖がある場合は、歯並びや噛み合せに影響しやすく、反対咬合の原因になりやすいです。
口周りの癖とは、指しゃぶり、爪噛み、唇を噛む、舌の間違った動き、口呼吸などです。
口呼吸は、アレルギーやアデノイド肥大などの疾患により鼻詰まりが引き起こされると誘発されます。鼻詰まりが長く続いて鼻で呼吸できない場合は、耳鼻咽喉科で診てもらうと良いでしょう。

○先天的な原因
親が受け口の場合、遺伝的に子供も受け口になりやすいです。この場合、受け口自体がそのまま遺伝するのではなく、歯や顎のサイズ、骨格が親から遺伝することで受け口になる可能性が高くなります。

親が受け口の場合は、お子さんの歯の並びや、噛み合せの状況をこまめに確認しましょう。気になることがあれば早いうちに歯科医院で診てもらうことをお勧めいたします。

受け口治療をスタートできる年齢は?

1~2歳頃のお子さんは、まだ乳歯がすべて生えていないため、噛み合せが定まっていません。そのため、1~2歳頃で受け口であっても、約半数は自然に正常な噛み合せに治ることがあります。

この頃のお子さんは、経過をみながら、歯ごたえがある食べ物でしっかり咀嚼させて顎を鍛えられると良いです。そうすることで、顎の成長が促され、歯並びや噛み合せが改善しやすいです。

乳歯がすべて完全に生えた後も受け口である場合は、矯正治療で治す方法もあります。特に骨格に原因があるタイプの受け口は、3~5歳頃に治療を行うことをおすすめします。

3歳以降での受け口の自然治癒の確率は10%以下です。そのため、レントゲン写真撮影できるくらいの年齢である3歳以降に治療を始められると良いでしょう。

歯並びに原因があるタイプの受け口の場合は、治療が6~8歳になっても間に合います。
子どもの矯正治療では、顎の成長を上手く利用しながら行います。上顎の成長が止まるのが9~10歳くらいなので、それまでに治療を受けられることをお勧めいたします。

矯正治療の装置は、金属を歯に接着するイメージがあるかもしれませんが、マウスピース型の取り外し可能な装置を使用することもできます。マウスピース型の装置は、小さいお子さんでも治療の負担が少ないです。お子さんに適した矯正治療の方法を歯科医院で相談してみましょう。
受け口は、成長が進むごとに難易度が高くなるため、子供のうちに治療を受けられることをお勧めしております。

受け口の治療法とは?特徴・治療期間・費用について

①予防矯正

3歳児健診などで受け口(反対咬合)を指摘され、心配になられる方もいらっしゃるかもしれません。
受け口は、3歳からの早期矯正治療が可能で、使用する装置には、プレオルソとムーシールドがあります。(プレオルソはムーシールドが改良された装置です)

プレオルソとムーシールドの特徴を表で比較します。


プレオルソ ムーシールド
対象年齢 3~10歳 3~5歳
素材 シリコン由来の素材でできており柔らかめで、使用しやすい。
ソフトとハードがあるため、慣れた後より効果が期待できる硬めのものを使用することもできる。
プラスチックの素材でできており硬めで、口や唇の力の影響を受けにくいため効果が期待されやすい。
ただ、硬いため違和感を感じやすい。
使用方法 就寝中に使用し、日中は最低1時間使用する。
治療期間 1年~1年半 半年~1年
費用の目安
(保険適用外)
10万~30万円 5万~15万円 

※費用については矯正前の検査費用を含めた金額、あるいは含めていない金額を提示している医院がそれぞれあるため金額にばらつきがあります。

<予防矯正治療のメリット>
◎早い時期に受け口に対してアプローチできます。
受け口の治療は年齢とともに治療の難易度が上がるため、早期に開始することで治療の負担が少ないです。

◎比較的、装着時間が短く痛みが出にくいです。
大人の矯正治療では、取り外しができるタイプの装置は1日約20時間の装着が必要ですが、子供の予防矯正装置は、主に就寝時と日中1時間の装着で良いです。

◎早期に受け口を改善できると子供の健やかな成長にも繋がります。
受け口は、見た目以外にも、咀嚼効率の低下や、発音や滑舌のしづらさを引き起こします。噛み合せとも密接に関係しており、前歯がうまく噛み合わないことで奥歯への負担が大きくなると、将来的に奥歯の寿命を縮めてしまうリスクも考えられます。そのため、お子さんの健康にとっても早期の矯正治療は大きな意味があります。

<早期矯正治療のデメリット>
●絶対的に受け口が治るとは言い切れる治療ではありません。
遺伝が原因で骨格に問題がある受け口の場合は、効果が出にくいというデータもあります。

●受け口が改善されても元に戻ることもあります。
口周りの癖が戻ったり、あるいは永久歯に生え変わることで受け口に戻ってしまうことがあります。受け口が改善されても、再度戻らないようにするために、必要な時に装置を使用したり、定期的な検診に通ったりすることは欠かせません。

●お子さんの理解が得にくいこともあります。
小さい時期から治療を始めると、治療の必要性が理解できず、マウスピースに抵抗を感じるお子さんもいらっしゃいます。お子さんが矯正治療を行えるタイミングについても歯科医院で相談してみましょう。

➁床矯正

床矯正とは、上顎に拡大装置を装着して上顎の形態を横に広げ、歯を並べるスペースを作る方法です。下顎が大きくなりやすい受け口の治療でも適応され、上顎の成長を促進することにも繋がります。
装置を上顎の裏につけて、ネジを少しずつ回転させながら徐々に広げていきます。

適応年齢は3~12歳頃で、顎が成長段階にある時期に使用すると高い効果が得られやすいです。ただし、条件が合えば大人でも使用できることがあり、使用できるかどうかは歯科医師の診断が必要です。

<床矯正の費用>
費用の目安は20万~30万円くらい(保険適用外)です。

矯正治療は子供の成長段階に行う1期治療と、成長が落ちついた段階で行う2期治療に分けられます。
床矯正は1期治療に該当し、その大きな目的は顎の発達を促すことにあります。そのため、歯並びまで改善が難しい場合は2期治療が必要になり、追加費用がかかることがあります。

<床矯正の種類>
床矯正の装置には、主に「急速拡大装置」と「緩徐拡大装置」の2種類あります。

〇「急速拡大装置」
固定式の装置です。比較的早く上顎の拡大を行うことが可能で、十分なスペースを獲得しやすいです。使用する期間は2週間~2ヶ月くらいです。

上顎には、左右対称の骨が2つ存在し、正中口蓋縫合と呼ばれるつなぎ目で接しています。そのつなぎ目は、大人では完全に密着していますが、成長段階にある子供の場合は密着していません。その部分を、正しいペースで必要な期間、拡大装置にて押し開いた状態を保つと、新しい骨が作られ上顎が安定します。この原理を利用して上顎の拡大を行います。
主に、骨格に問題があるタイプの受け口に適応されます。

〇「緩徐拡大装置」
固定式と着脱式があります。成長期の子供の成長に合わせて、1~2年かけて顎をゆっくりと広げていくので、痛みを感じにくいです。急速拡大装置ほどのスペース確保は難しいですが、よく使用される装置です。
主に歯並びに問題があるタイプの受け口に適応されます。

<床矯正のメリット>
◎骨格からの改善が可能です。
拡大装置により顎の成長を促して広げると、歯並びだけでなく骨格自体を改善できます。

◎非抜歯で矯正治療を行える可能性が高まります。
永久歯が生え揃う前に治療できれば、歯の生え換わりの時期を利用しながら、永久歯の生えるスペースも確保しやすいです。

◎口呼吸が改善され鼻呼吸ができるようになることも期待できます。
上顎が拡大されることで鼻の通りがよくなりやすいです。

<床矯正のデメリット>
●歯磨きがしづらく装置に汚れが溜まりやすいです。
固定式の装置だと、歯磨きがしづらく、装置自体にも汚れが溜まりやすいです。お子さんのお口の状態を確認しながら、親御さんが仕上げ磨きをすることが必要になります。

●痛みを感じやすいです。
急速拡大装置は、歯に対して強い力を加える必要があるので、強力に接着します。そのため、話す時や食事中に大きな違和感があったり、鼻付近に痛みを感じたりすることがあります。違和感については、大半の方は1〜2週間で慣れてきます。

●適応年齢や適応症例も限られます。
個人差があるため、気になる方は早めに歯科医院で相談されることをお勧めいたします。

③フェイシャルマスク・チンキャップ

受け口は、口の中ではなく外側に矯正装置を装着して治療を行う方法もあります。見た目は大袈裟な装置ですが、自分で取り外すことが可能です。
お子さんが学校から帰ってから翌日の朝まで装着すればいいので、装着した状態で外出することはほとんどありません。
治療の効果が高い装置で、矯正治療の1期治療の費用に組み込まれていることが多いです(1期治療の費用目安は40~60万円です)。

フェイシャルマスクとチンキャップの2種類の装置についてご説明します。

〇フェイシャルマスク(上顎前方牽引装置)
上顎の骨の成長が遅いことが原因で受け口になっている場合に使用される装置です。
下顎のオトガイ部と額を繋ぐ装置と、口の中に装着された装置とを連携させ、下顎の動きにより、徐々に上顎を前方に移動させる仕組みになっています。
適応年齢は7~13歳くらいで、歯の生え換わりの時期から永久歯全て生え揃う時期に使用します。装着時間は、短くても1日12時間は必要です。

○チンキャップ(オトガイ帽装置)
チンキャップは、下顎が上顎より大きく成長し受け口になっている場合に使用される装置です。
頭に装着した簡易的な帽子と、下顎のオトガイ部に装着するキャップをゴムで繋ぎ、そのゴムの力で下顎を後方に引っ張ることで下顎の成長を抑制する仕組みです。
適応年齢は顎骨の発達が盛んな9~15歳頃で、装着時間は1日10~12時間必要です。

<チンキャップ・フェイシャルマスクのメリット>
◎受け口の矯正治療において、高い効果が期待できます。

◎見た目がほとんど気になりません。
基本的にはお子さんが学校から帰ってから、翌日の朝までの在宅中に装着すれば良いです。

<チンキャップ・フェイシャルマスクのデメリット>
●肌荒れを引き起こすこともあります。
接触性皮膚炎が起こりやすい子供は、装置が皮膚に接触することにより肌が荒れてしまうことがあります。

●装置がズレることがあります。
装置がズレてしまうと治療が進まないので、装置の装着時は運動や大きな動きはできません。

●大きな負担を感じることがあります。
装置自体が大きいため1日の装着時間が長く感じ、負担を感じることもあります。就寝時も装着するため、寝にくくなることもあります。

●装着して3〜4日は、痛みを感じることがあります。

おすすめはお子さん専用のマウスピース矯正!

子供の時期から始められるマウスピース矯正に「インビザラインファースト」があります。受け口の治療も可能です。

インビザラインファーストは、子供に特化した矯正装置で、乳歯にもフィットし、永久歯が生えるスペースを予測しながら、オーダーメイドのマウスピース型矯正装置を作成します。
適応年齢は、6~10歳頃(乳歯と永久歯の両方が生えている時期)です。歯の生え換わりの状態によっては、適応年齢前後でもインビザラインファーストを使用できる場合もあるので、まずは歯科医師に診断してもらうことをお勧めします。

大きな特徴として、透明なマウスピースを使用するため目立ちにくいこと、取り外しが可能なので歯磨きや食事が普段通り行えることが挙げられます。
1日の装着時間は20~22時間で、治療期間は長くても18ヶ月までと決められています。

治療費用の目安は、40~60万円くらいです。治療前の精密検査から歯の保定処置(歯並びを整えた後に安定させる処置)も含まれていることがほとんどです。保険適用外となります。

<マウスピース矯正のメリット>
◎1期治療と2期治療が同時進行で行えます。
子供の矯正治療は1期治療と2期治療に分類されます。1期治療の目的は「歯列や骨格が正しく発達できるように促すこと」、2期治療の目的は「歯並びを整えること」です。
通常の矯正治療では、1期と2期を分けて行うため期間と費用がかかってしまいます。しかし、インビザラインファーストは1期と2期を同時に行えるため、期間と費用が比較的抑えられます。お子さんへの負担も軽くなりやすいです。

◎矯正装置が透明なマウスピースのため、目立ちにくいです。
マウスピースは透明なので、はめていても近くで見ない限り気づかれにくいです。装置を気にせず口を開けることができるでしょう。

◎比較的痛みが少ないです。
マウスピース型の装置は、歯列全体にバランス良く力がかかりやすいです(一般的に知られているワイヤー矯正は、装置が接着している部分に集中的に力がかかりやすいです)。

◎取り外しが可能なため、普段通りの歯磨きができるので虫歯にもなりにくいです。
スポーツや楽器を学んでいる時でも装置を装着したままで大丈夫です。

◎比較的、通院頻度が少ないです。
一般的に知られるワイヤー矯正は、基本的に2週間~1ヶ月毎の通院と、歯科医師による矯正装置の調整が必要です。しかし、マウスピース矯正の通院は1~2ヶ月毎で、その間は自分でマウスピ-スを交換することで治療を進めることができます。お子さんの習い事等の関係で通院しにくい方にもおすすめです。

<インビザラインファーストのデメリット>
大きなデメリットはありませんが、注意していただきたいことがあります

●インビザラインファーストは、使用できる時期が限られます。
気になる方は早めにインビザラインファーストを取り扱っている歯科医院に相談してみましょう。

●不用意に取り外したままにしていると、取り外している時間は治療が進みません。
長時間外したままにしていると、計画通りに治療が進まない恐れがあります。マウスピースがはまらなくなると作り換えが必要になることもあり、費用と期間が追加でかかることがあります。そのため、自己管理が不可欠で、お子さんが装着時間を守れるように親御さんも協力して行うことが大切です。

治療せずに受け口が治ることはある?

受け口が自然に治る確率は、2歳で50%、3歳では10%以下と非常に低く、年齢が上がるごとに更に難しくなります。その理由は、上顎と下顎の成長のバランスが関係しています。
正常な噛み合せは、上顎の前歯が下顎の前歯に被さっているいるため上顎が成長しやすいです。しかし、下の前歯が上顎より前に出ていると下顎の成長が早まるため、下顎が前に出た顔つきになる傾向があります。

受け口の治療は3歳頃から可能で、子供のうちに受け口が改善できると、下顎が大きく発達する前に成長を止められます。

受け口のリスクとして、前歯が上手く噛み合わないために、奥歯だけが噛み合った状態になることが挙げられます。奥歯に噛む力が集中しダメージをうけやすいため、奥歯を支える組織(歯茎・歯根膜・歯槽骨)が炎症を起こしやすくなるのです。
炎症が起きると将来的に重度の歯周病になる確率が高まるため、奥歯の寿命を縮める可能性もあります。

大人になってからでも受け口の治療は可能ですが、下顎が大きく成長している分、治療の難易度も上がります。症例によっては、矯正治療に加えて顎骨に対する外科手術が必要になる場合もあり、期間と費用はもちろん、体への負担もかかりやすいです。そのため、受け口の治療は子供のうちに始めていただくのがおすすめです。

当院はお子さんの受け口治療にも力を入れています!

子供は体が発達段階のため、早い時期に矯正治療を行なってアプローチできれば、受け口を顎の骨格から改善できる可能性が高いです。骨格から改善できると、非抜歯での矯正治療はもちろん、より理想的な歯並びと噛み合せを手に入れることができます。

当院では、お子さんの受け口に対する矯正治療にも力を入れております。
また、無料カウンセリングにも力を入れており、患者さんのお口の状態を実際に診た上で、矯正治療の治療計画の提案や治療完了後のシミュレーションまで行うことが可能です。カウンセリングを受けたからといって、必ず治療を受けないといけないわけではないのでご安心ください。
セカンドオピニオンのご相談も受け付けておりますので、気になることがある方はお気軽にご相談ください。

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