【矯正医直伝】正しい噛み合わせの基準と矯正方法とは?
監修:歯科医師 高島光洋

ご自分で食べ物を噛んでいる様子を鏡などで見たことはありますか?その時、顎は上下左右バランス良く動いていますか?これは噛み合わせのチェックの1例ですが、普段何気なくしている噛み癖がある場合は、噛み合わせが悪い可能性があります。ここでは正しい噛み合わせについてや、噛み合わせの治療法などを詳しくお話していきます。
1.矯正医が考える正しい噛み合わせ
2.噛み合わせの重要性
2-1良くない噛み合わせの症例
3.噛み合わせの治療方法
3-1 ①咬合調整
3-2 ②補綴治療
3-3 ③矯正治療
3-4 当院は噛み合わせを最重要課題として考えています
矯正医が考える正しい噛み合わせ
正しい噛み合わせ・悪い噛み合わせとはどのような噛み合わせなのか、基準になる項目を挙げてみます。ご自身に当てはまるものがあるかチェックをしてみましょう。
- 顎を動かしたとき、何もしていないとき、違和感や痛みがない
- 左右の奥歯がバランスよく噛めている
- カチと自然に噛んだ時に、歯の真ん中が上下で合っている
- 奥歯よりも上下の前歯4本が強く当たっていない
- 上の前歯が下の前歯より少し覆っていて上下の歯が当たっている
- 軽く噛み合わせて顎を左右にギリギリと動かしたとき、上下の犬歯同士が当たる
- 歯と歯の間に大きく空いた隙間がない
- 噛み合っている前歯のラインが水平になっている
これらのチェックは、歯が正しい位置で噛み合っている、歯並びが整っている、顎の位置や動きのバランスが整っているかを確認するためのものです。当てはまる項目が多いと、理想的な歯並びであると考えられます。反対に、当てはまる項目が少ないと、噛み合わせが乱れている可能性があるため、一度歯科医院を受診することをおすすめします。
噛み合わせの重要性
1日何回も歯と歯を噛み合わせて食べ物を噛んだり、何もしていないときに無意識に噛みしめていることもあります。バランスよく噛み合わせているかどうかは、実は自分では気付きにくい点でもあります。正しい噛み合わせだと様々なメリットがあります。
〇歯並びが整っている
噛み合わせがいいということは歯並びが整っていると言っても過言ではありません。逆に噛み合わせが悪いと、歯並びがガタガタしていたり、出っ歯や受け口、前歯が噛み合わない開咬の状態になっていることがほとんどです。噛み合わせと歯並びは深い関係があると言えます。
〇虫歯・歯周病のリスクが低い
噛み合わせがいいと歯並びもいいので歯磨きがしやすく、口臭や虫歯・歯周病のリスクが低くなります。
〇歯の寿命が長くなる
歯列全体でバランスよく噛む力がかかることで、一部の歯が割れたり痛みが出ることがなく、長い期間自分の歯で過ごせる可能性があります。
〇顎にも優しい
噛み合わせが悪いと顎関節にも悪影響を及ぼします。痛みがでたり、顎が動かず口が開けられないなどの問題が発生することがあります。噛み合わせが整っていると、顎への負担も少なくなります。
良くない噛み合わせの症例
噛み合わせが悪い主な例には「叢生」「出っ歯」「受け口」「過蓋咬合」があります。
それぞれの良くない噛み合わせについて解説します。
〇叢生(ガタガタの歯並び)
上下のそれぞれの顎の大きさが小さい、または歯の大きさ自体が大きいなどの理由で、歯列に歯が並びきらず、前後にずれて生えることで上下の噛み合わせは悪くなります。
〇出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前に傾いて生えていたり、顎の骨が大きく成長して前に出ている場合、上下の前歯が正しく噛み合うことができません。
〇受け口(下顎前突)
下の顎の骨が大きく成長して前に出ることで、上の歯より下の歯が前に出ている噛み合わせとなり、上下の歯が正しく噛み合わない。
〇過蓋咬合
通常、上の前歯は下の前歯より2~3mm程度被さっている状態が正常と言われています。それよりも上の前歯が下の前歯に深く被さっていると「過蓋咬合」と呼ばれます。上の前歯が大きく被さると下の前歯が上の歯茎に当たって傷付けたり、歯列全体でうまく噛み合うことができません。
噛み合わせの治療方法
①咬合調整
咬合調整とは、噛み合わせをよくするために少しだけ歯を削って調整する方法です。噛むと歯が痛む咬合性外傷や、顎を左右に動かしたとき引っかかる箇所があるケースなどに適応されます。
〈治療方法〉
赤と青の咬合紙というものを使用して噛みます。赤の咬合紙はカチカチと噛んだ時の接触点の記録、青の咬合紙は横に動かした時の接触点の記録になります。赤のポイントを消し過ぎないようにし、側方に動かした青のポイントを減らすように歯を少しずつ削ります。
〈メリット・注意点〉
噛む力を歯列全体にバランスよく分散でき、横にずらしたときにかかる力を弱めることができます。噛み合わせが低くなり過ぎないこと、削る量はエナメル質に留めることが注意点として挙げられます。
〈治療期間・費用〉
10日程度で再調整を行い、半年~1年ごとに検診でチェックします
費用は保険治療(3500円~)が適用される場合と自由診療になる場合があります。
②補綴治療
補綴治療とは、虫歯や外傷、歯周病などで歯の一部または歯自体を抜く必要があった場合、失った部分をブリッジや入れ歯、インプラントなどの人工物で補う治療方法です。
〇ブリッジ
失った歯の両隣の歯と繋げた人工の被せ物の歯を装着します。
〈メリット・注意点〉
比較的違和感が少なく、自分の歯に近い感覚で使えるメリットがあります。一方、両隣の歯に負担がかかります。
〈治療期間・費用〉
治療期間:1~2週間程度
費用:保険診療だと前歯2万円~、奥歯1万円~
自由診療:1本10万円~
〇入れ歯
失った部分を取り外しのできる人工の歯で補います。
〈メリット・注意点〉
他の歯を削る必要がありません。入れ歯を支える金具が見えたり、紛失の恐れがあります。
〈治療期間・費用〉
治療期間:1ヶ月~3ヶ月
費用:保険診療1万円前後 自費診療10万円~
〇インプラント
抜歯して失った歯の代わりにチタン製の人工歯根を埋めて歯を作ります。
〈メリット・注意点〉
自分の歯の様に使えます。手術が必要で自由診療になります。
〈治療期間・費用〉
治療期間:6ヶ月~1年
費用:1本40万円~60万円
③矯正治療
歯列矯正は、叢生や出っ歯、受け口、過蓋咬合などの悪い歯並びや噛み合わせに非常に有効で、ご自分の歯を動かして整えるので根本的な治療ができます。矯正治療には主にワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
〇ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットと呼ばれる装置とワイヤーを装着して歯を動かしていく治療です。
〈メリット・注意点〉
装置が固定なので取り外しが不要で多くの症例で適応されます。しかし痛みが強く出たり歯磨きや食事がしにくい点があります。
〈治療期間・費用〉
治療期間:全体矯正2年~3年、部分矯正6ヶ月~1年
費用:40万円~120万円(症例や使用材料によって変動します)
〇マウスピース矯正
歯列に沿って作成された透明なマウスピースを装着して歯を少しずつ動かして歯並びを整える治療方法です。
〈メリット・注意点〉
透明なマウスピースなので装着したまま会話をしていても気付かれにくく、食事や歯磨きの際には取り外していつも通りできます。装着時間が1日20時間以上となり、水以外の飲み物を摂るたびに歯磨きをして装着する必要があります。
〈治療期間・費用〉
治療期間:全体矯正2年~3年、部分矯正3ヶ月~1年
費用:60万円~120万円
当院は噛み合わせを最重要課題として考えています
歯並びはもちろん、先述の「噛み合わせチェック」で当てはまる項目や気になるところがある方はお気軽に当院へご相談ください。
当院はカウンセリングを丁寧に行い、専門的な様々な検査(レントゲン、口腔内顔貌写真撮影、口腔内スキャンなど)を行います。その結果から、噛み合わせを最重要課題として注視しながら理想の歯並びになる治療計画を立案、リスクやデメリットの部分もしっかりとご説明した上で治療を行います。
まずは当院の無料カウンセリングでお話をお聞かせください。