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子どもの口呼吸は歯並び悪化のサイン?原因と矯正治療の効果

監修:歯科医師 高島光洋


口を開けて寝ている赤ちゃん

子どもがいつも口をぽかんと開けている、あるいは口で呼吸をしていること(口呼吸)を、「単なる癖だろう」と見過ごしていませんか?

実は、子どもの口呼吸は、将来の歯並びや顔立ちのゆがみに直結します。

このコラムでは、口呼吸が歯並びに与える悪影響やその原因、そして、矯正治療がもたらすメリットについて詳しく解説します。お子さんの健やかな成長のために、今できることを見つけましょう。

【目次】
1.なぜ子どもの口呼吸が増えているのか?その背景と現状
 1-1 鼻詰まりやアレルギー性鼻炎による物理的な原因
2.口呼吸が子どもの歯並びに与える4つの悪影響
 2-1 ①出っ歯(上顎前突)になりやすくなる
 2-2 ②歯が咬み合わない「開咬(オープンバイト)」
 2-3 ③顎が狭くなり歯がガタガタになる(叢生)
 2-4 ④顔立ちの変化(アデノイド顔貌)
3.歯並びだけじゃない!口呼吸がもたらす全身の健康リスク
 3-1 風邪やアレルギーの発症リスクが上昇する
 3-2 虫歯や口臭、歯周病の原因になる
 3-3 睡眠の質が低下し集中力がなくなる
4.子どもの口呼吸を見分けるためのチェックリスト
5.口呼吸と悪い歯並びを根本から改善する「小児矯正」
 5-1 顎の骨を広げて鼻呼吸がしやすい構造を作る
 5-2 お口の周りの筋肉を鍛える「MFT(口腔筋機能療法)」
6.小児矯正を始めるのに最適なタイミングとは?
 6-1 6歳~9歳頃(混合歯列期)の「第1期治療」がベスト
7.悩む前にまずは歯科医院での「一歩」を

なぜ子どもの口呼吸が増えているのか?その背景と現状

近年、日常的に口呼吸をする子どもが増加傾向にあると言われています。これには現代の生活環境や食生活の変化が深く関わっており、決して見過ごせない問題です。

子どもの発育期における呼吸法は、骨格や筋肉の発達にダイレクトに影響を与えます。

本来、人間は鼻で呼吸(鼻呼吸)をするようにできていますが、何らかの理由で口呼吸が習慣化してしまうと、全身の健康だけでなく、お口周りの発育に深刻なトラブルを引き起こす原因となります。

鼻詰まりやアレルギー性鼻炎による物理的な原因

口呼吸が始まる最も代表的なきっかけは、鼻の病気による気道の閉塞です。

  • アレルギー性鼻炎
  • 花粉症
  • 蓄膿症(副鼻腔炎)
  • アデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃の肥大

などがあると、鼻の通り道が狭くなり、鼻呼吸が物理的に苦しくなります。その結果、酸素を多く取り込もうとして、無意識に口で息をするようになってしまいます。

口呼吸が子どもの歯並びに与える4つの悪影響

「口で息をするだけで、なぜ歯並びが悪くなるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

歯は、舌による内側からの圧力と、唇や頬の筋肉による外側からの圧力の「バランスが調和した場所」に自然と並ぶようになっています。

口呼吸をしている子どもは、常に口が開いているため、このバランスが完全に崩れてしまいます。その結果、歯並びが悪化してしまうのです。

ここでは、口呼吸が引き起こす具体的な4つの不正咬合(悪い歯並び)について解説します。

①出っ歯(上顎前突)になりやすくなる

口が常に開いていると、上の前歯を外側から押さえる唇の力が働きません。

また、舌の位置がずれて、前歯を内側から押し出すような動きをすることがあります。

この結果、上の前歯が徐々に前方へと傾斜し、「出っ歯(上顎前突)」を引き起こす原因になります。

②歯が咬み合わない「開咬(オープンバイト)」

口呼吸の子どもに多く見られるのが、奥歯を咬み締めても前歯の間に隙間が空いてしまう「開咬(かいこう)」という状態です。

口呼吸をすると、気道を確保するために舌を前方に突き出す癖(異常嚥下癖や舌突出癖)が出やすく、この舌の圧力が毎日前歯にかかり続けることで、上下の前歯が咬み合わなくなってしまいます。

③顎が狭くなり歯がガタガタになる(叢生)

鼻呼吸をしている時、舌は上顎の裏側(口蓋)にぴったりと吸い付いています。この舌の圧力によって、上顎の骨は横に広く健康的に成長します。

しかし、口呼吸では舌が常に下の顎へと落ち込んでいるため、上顎に圧力がかかりません。

その結果、上顎の幅が狭く(狭窄歯列弓)なり、永久歯が綺麗に並ぶスペースが不足して「ガタガタの歯並び(叢生・乱ぐい歯)」になってしまいます。

④顔立ちの変化(アデノイド顔貌)

口呼吸が長期にわたると、歯並びだけでなく顔の骨格そのものに変形をもたらすことがあります。

常に口を開けていることで、下顎が後下方へと成長し、面長で締まりのない顔立ち、いわゆる「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴的な容貌になりやすくなります。

また、口元の筋肉が弛緩するため、常に不機嫌そうに見えたり、年齢より幼く見えたりすることもあります。

歯並びだけじゃない!口呼吸がもたらす全身の健康リスク

口呼吸の悪影響は、お口の中のトラブルだけに留まりません。空気のフィルターである鼻を通さない呼吸は、子どもの全身の免疫や発育にも影を落とします。

本来、鼻の粘膜や鼻毛は、空気中の細菌やウイルス、埃をキャッチし、加湿・加温された綺麗な空気を肺に送る役割を持っています。

しかし、口呼吸では、冷たく乾燥した空気が汚れたままダイレクトに喉へ送り込まれます。これにより、子どもたちの身体には以下のような様々なリスクが生じるのです。

風邪やアレルギーの発症リスクが上昇する

乾燥した空気が直接喉の粘膜を刺激するため、喉のリンパ組織である扁桃が炎症を起こしやすくなります。

風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるほか、アレルギー症状を悪化させる一因とも言われています。

虫歯や口臭、歯周病の原因になる

口呼吸によって唾液が蒸発すると、お口の中が慢性的に乾燥します。唾液には、お口の中を洗い流す「自浄作用」や、細菌の繁殖を抑える「抗菌作用」があります。

この大切な唾液が減ることで、虫歯菌や歯周病菌が増殖し、虫歯になりやすくなったり、幼い子であっても強い口臭が発生したりします。

睡眠の質が低下し集中力がなくなる

口呼吸は鼻呼吸に比べて酸素の摂取効率が悪く、睡眠中に気道が狭くなりやすいため、イビキや睡眠時無呼吸症候群のような状態を招くことがあります。

熟睡できないことで、日中の強い眠気や集中力の低下、多動傾向、成長ホルモンの分泌不足による発育遅延など、日常生活や学習面にも重大な影響を及ぼすことが懸念されています。

子どもの口呼吸を見分けるためのチェックリスト

子どもが口呼吸をしているかどうかは、普段の生活習慣を注意深く観察することで見分けることができます。

親御さんが「うちの子は大丈夫かな?」と気にすることが、早期対策の第一歩です。日中起きている時だけでなく、睡眠中の様子も含めて、以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • 普段、無意識のうちに口が「ぽかん」と開いている
  • テレビを見ている時や読書中に、口が開いている
  • 下唇が厚く、カサカサに乾燥している
  • 食事の時にクチャクチャと音を立てて食べる
  • 朝起きた時に「喉が痛い」と言う、または口がひどく渇いている
  • 寝ている時にイビキをかいている、または歯ぎしりをする
  • 姿勢が悪く、猫背で頭が前に突き出ている

もし1つでも日常的に当てはまるものがある場合は、すでに口呼吸が習慣化している可能性が高いです。

口呼吸と悪い歯並びを根本から改善する「小児矯正」

口呼吸の癖を自力で直すのは非常に困難ですが、歯科医院で行う「小児矯正」を取り入れることで、根本的な解決が可能です。

子どもの矯正治療(小児矯正)は、大人のように「歯を綺麗に並べる」ことだけが目的ではありません。

最大の目的は、成長期にある子どもの顎の骨の発育を正しい方向へと導き、それに伴って、お口の周りの筋肉や、正しい呼吸の機能を獲得させることにあります。

口呼吸が原因で起こる歯並びの乱れには、まさにこの小児矯正が絶大な効果を発揮します。

顎の骨を広げて鼻呼吸がしやすい構造を作る

小児矯正では、主に「拡大床(かくだいしょう)」と呼ばれる装置などを用いて、狭くなってしまった上顎の骨を適切な大きさに広げる治療を行います。

上顎の骨を広げることは、そのまま「鼻腔(鼻の空気の通り道)」を広げることにもなります。

物理的に鼻の通りが良くなるため、治療を進めるうちに自然と鼻呼吸がしやすくなり、口呼吸の改善へと繋がっていくのです。

※鼻の病気が根底にある場合は、歯科矯正と並行して耳鼻咽喉科での治療が必要になることもあります。

お口の周りの筋肉を鍛える「MFT(口腔筋機能療法)」

歯列矯正装置の装着と並行して、多くの歯科医院で行われているのが「MFT(口腔筋機能療法)」というお口のトレーニングです。

これは、舌の位置を正しい場所に直したり、唇を閉じる筋肉を鍛えたりするリハビリテーションです。

装置で骨格を整え、MFTで筋肉の動きや習慣を整えることで、後戻りのない正しい鼻呼吸を定着させます。

小児矯正を始めるのに最適なタイミングとは?

子どもの矯正治療には、成長期だからこそのアプローチが可能な「ゴールデンタイム」が存在します。

いつでも始められる大人の矯正とは異なり、子どもの骨の柔らかさや成長発育の力を利用できる期間は限られています。

適切な時期を逃さないために、一般的な目安を知っておくことが大切です。

6歳~9歳頃(混合歯列期)の「第1期治療」がベスト

小児矯正は一般的に、上下の前歯が永久歯に生え変わる「6歳〜9歳頃」に始めるのが最も効果的とされています。

この時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長のコントロールがしやすいため、無理なく上顎を広げたり、上下の顎のバランスを整えたりすることができるからです。

この段階で口呼吸を改善し、土台をしっかりと作っておくことで、将来的に本格的な矯正(第2期治療)が必要になったとしても、歯を抜かずに済む可能性が飛躍的に高まります

悩む前にまずは歯科医院での「一歩」を

子どもの口呼吸は、単なる見た目の癖ではなく、将来の歯並びや全身の健康を脅かす危険信号です。

日本小児歯科学会などの公的な専門機関や各種論文においても、幼児期・学童期における口呼吸の早期発見と、それに伴うお口の周りの筋肉・骨格の育成(顎顔面成長の誘導)の重要性が強く指摘されています。

骨の成長が止まってから口呼吸の習慣や骨格のゆがみを治そうとすると、抜歯が必要になったり、最悪の場合は外科手術が必要になったりすることもあります。

しかし、子どものうちであれば、矯正治療を通じて、正しい歯並びと健康的な「鼻呼吸」の両方を、自然な形で手に入れることができます。

「まだ様子を見てもいいのかな」「うちの子の歯並び、大丈夫かな」と一人で悩む必要はありません。

お子さんの生涯にわたる笑顔と健康を守るために、まずは一歩踏み出してみませんか?矯正相談を行っている歯科医院に足を運び、お子さんのお口の状態を診てもらいましょう。

当院では無料カウンセリングも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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